〇2023年 2020年度はコロナ禍により調査が休止となったが再開された21年度以降、調査法が郵送法に変更となったのでそれまでと単純には比較できない。これを踏まえた上で、これまでと比較した2023年の結果の特徴は以下の通りである。
〇2022年 2020年度はコロナ禍により調査が休止となったが再開された21年度以降、調査法が郵送法に変更となったのでそれまでと単純には比較できない。これを踏まえた上で、これまでと比較した2022年の結果の特徴は以下の通りである。
【過去のコメント】 〇2021年 2020年度はコロナ禍により調査が休止となったが再開された21年度も調査法が郵送法に変更となったのでそれまでと単純には比較できない。これを踏まえた上で、これまでと比較した2021年の結果の特徴は以下である。
○2019年 これまでと比較した2019年の結果の特徴は
「科学技術」は、日本人のノーベル賞受賞者が2018年には出たにもかかわらず値を低下させた。慣れもあろうが、研究者が腰を落ち着かせて研究する環境が失われているという報道が影響したか。 ○2018年 これまでと比較した2018年の結果の特徴は
昨年に続いての「防衛」の悪化は北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる米朝対立のためと見られる。 「防衛」に関し、前回は、「良い方向」は低下、「悪い方向」は上昇と表裏があっていたが、今回は、「良い方向」も「悪い方向」も増加した。そして、「悪い方向」への回答がはじめて30%を越えている点が報じられた。「内閣府の担当者は「日本が戦争に巻き込まれると考える人の増加や朝鮮半島情勢、中国の軍事力の近代化などが背景にあるのではないか」と分析している」(時事通信2018.4.6)という。良い方向から悪い方向を引いて算出しているこのデータの性格を末尾のコラムで取り上げたので参照されたい。 「外交」は昨年のトランプ大統領就任以来の国際政治上の不透明さからなお余り改善が見られない。 ○2017年
前年と比べた2017年の結果の特徴は ・「科学技術」がなおトップ ・「景気」横ばい、「雇用・労働条件」改善 ・「外交」と「防衛」の悪化 「科学技術」がやや値を低下させえたとはいえ、トップの高い値を維持したのは、昨年も日本人ノーベル賞受賞者が1人出たことによる影響であろう(図録3933参照)。 「景気」が横ばいなのに「雇用・労働条件」が改善しているのは昨年春闘でのベースアップやこの1年の失業率の低下や就職内定率の上昇などが反映したとみられる。 「防衛」の悪化は「北朝鮮が昨年だけで23発の弾道ミサイルを発射し、核実験を2回行うなど、安全保障上の脅威が高まっていることへの不安が顕在化した」(産経ニュース2017.4.1)ためと見られる。 「防衛」に関し、前回は、「良い方向」も「悪い方向」も増加した結果、横ばいであったが、今回は、「良い方向」は低下、「悪い方向」は上昇と表裏があっている。良い方向から悪い方向を引いて算出しているこのデータの性格を末尾のコラムで取り上げたので参照されたい。 「外交」の悪化について「内閣府は北朝鮮情勢に加え、調査期間(1月19日〜2月5日)が米国の政権移行期と重なり、トランプ大統領の外交政策が不透明だったことが影響したとみている」(産経ニュース2017.4.1)という。中国の海洋進出への対応困難や韓国との慰安婦合意の不首尾なども影響していよう。 ○2015〜16年
前年と比べた2016年の結果の特徴は ・相変わらず「科学技術」がトップの高い値を維持 ・昨年大きく下落した「景気」が今年もさらに下落 ・「外交」は大きく回復傾向をたどる 「科学技術」がやや値を低下させえたとはいえ、トップの高い値を維持したのは、昨年も日本人ノーベル賞受賞者が2人出たことによる影響が大きいといえよう(図録3933参照)。 「景気」は、1月下旬の日本初となる日銀のマイナス金利導入の一方で、円高、株安が進んでいる状況から、「雇用・労働条件」の比較的堅調な動きにもかかわらずやや低下となったとみられる。 「外交」の改善については「内閣府は「近隣国との関係改善や、首脳会談の開催が数字に表れた」と分析。旧日本軍の慰安婦問題を巡る昨年末の日韓合意がプラスに作用したとみられる」(東京新聞2016.4.10)。 「防衛」に関しては、ほとんど横ばいであるが、実は、「良い方向」も「悪い方向」も増加した結果の横ばいである。安保法制に関する国民世論の二極化をあらわしていると思われるが、良い方向から悪い方向を引いて算出しているこのデータの性格を理解する上でも重要なので、この点に関し、以下のコラムで取り上げた。 ○2014〜15年
対前年で上昇した項目と下落した項目とが相半ばしたのが今回の特徴である。 (上昇項目)科学技術、防災、国際化、資源。エネルギー、雇用・労働条件、外交 (下落項目)医療・福祉、食糧、景気、地域格差、物価 過去1年間の最大の出来事は消費税の引き上げだった。このためもあってアベノミクスはやや頓挫し、下落項目の中で景気が特に目立っている。ただ、円安により輸出企業は好調、株高で企業経営はそんなに悪くないため、雇用・労働条件はやや改善している。 この世論調査結果で報道が取り上げたのは、当然とはいえ、悪化している項目のみであり、景気を多くの新聞が取り上げたが、朝日新聞は統一地方選の目前ということもあって地域格差を見出しにしていた。 地域格差が下落したのは、民間有識者らによる「日本創成会議」(座長・増田寛也元総務相)が昨年5月、全国の約半数にあたる896市区町村で今後30年で30〜40代女性が半減し、自治体として最終的に消滅する可能性があるとの推計を発表した結果、「消滅可能性都市」が大きな話題となり、政府の「地方創生」政策にもつながった影響によるものと思われる。 なお、外交が上昇しているのは、対中、対韓は相変わらず悪い状態であるが、少しは改善の道が模索されているという見方によるものだろう。 また、科学技術の上昇は、電球、蛍光灯に次ぐ大発明といわれる青色ダイオード研究の関連で日本人のノーブル賞受賞者が3人出たことが影響していると考えられる。国際化の上昇は、これに加え、円安を背景に中国、台湾などからの観光客の増加も影響している可能性があろう。 ○2013〜14年
2013年1月の自民党安倍政権の誕生によって民主党政権から自民党政権に政権が復帰した後の1年間の影響を示している。 2012年から2013年にかけて各項目が全般にプラス方向に転じていたが、これは民主党政権から自民党政権への交代による期待を示していたといえる。その後1年間で期待通りに上昇が続いたものと逆に低下に転じたものとが対照的である。 上昇が継続したものは、景気、雇用・労働環境、そして国際化である。アベノミクスによる景気回復と首相による積極的な世界各国の歴訪が評価されていると考えられる。 尖閣諸島をめぐる日中関係、竹島、歴史認識をめぐる日韓関係の悪化で大きく低下していた外交は、安倍政権の下での改善期待で13年は上昇したが、関係改善が実現せず、米国からも懸念が表明される事態が14年の外交のポイント低下につながっているといえよう。外交以外の諸項目も横ばいないし低下への転換が目立っており、期待はずれの側面も大きいことがうかがえる。 資源・エネルギーは、価格高騰で悪化した2008年のように価格問題で影響を受けるが、2011年3月の東日本大震災から1年たたずに実施された2012年調査の落ち込みは明らかに原発事故の影響である。2013年にやや改善したのに2014年には再度悪化したのは、政府が進める原子力政策と国民の感情とが乖離しているためと考えられる。 ○2010年〜2013年
2010年6月からの民主党菅政権、2011年3月の東日本大震災と福島第一原発事故、2011年9月からの民主党野田政権を経て、2013年1月の自民党安倍政権の誕生に至る時期の変化を示している。 科学技術と防災が2012年に悪化したのは東日本大震災と福島第一原発事故の影響と思われる。 外交が10年→11年に特に悪化しているが、10年9月の尖閣諸島沖での中国人船長逮捕以降の日中関係の悪化の影響が大きい。さらにその後も、2012年8月の韓国大統領竹島上陸などで日韓関係も悪化したが、これらが安倍政権のもとで改善できる期待が13年の上昇につながっているのであろう。 景気、雇用・労働条件などが2013年に急回復しているのはいわゆるアベノミクスによる円安、株高の動きが反映していると考えられる。 これ以外も含め、2013年に各項目が全般にプラス方向に転じているのは民主党政権から自民党政権への交代による期待を示しているといえる。 ○2009年〜2010年
2009年9月の鳩山政権誕生以降の状況を示している。 ・科学技術、防災、国際化は引き続き良い方向にある。 ・2008年7月のリーマンショック以降、景気の悪化意識が大きく強まっていたが、なお大きく改善したとはいえない。 ・非正規雇用の増加や新卒内定率の低迷などから雇用・労働条件の悪化意識が大きく高まっていたがなお改善していない。 ・2008年の石油価格・穀物価格急上昇は落ち着いたため物価はやや回復。 ・医療福祉は、障害者自立支援法が施行された2006年以降、地域医療における医師不足問題、救急医療の受入困難等を反映して、悪化を続けていたが、政権交代後、障害者自立支援法の見直し等への期待からか、悪化意識はかなり改善した。 ・外交は普天間基地問題の混迷からやや低下。 ・全体として鳩山政権への期待は高まっているが、社会の状況が現時点で大きく改善しているとは言い難い。 ○2008年〜2009年
2008年9月の麻生新政権誕生以降の状況を示している。 ・科学技術、防災、国際化は引き続き良い方向にある。 ・特に科学技術は2008年に4人のノーベル賞受賞者が出たため、良い方向の度合いが高まっている。 ・7月のリーマンショック以降の景気悪化の世界的広がりに対応して景気の悪化意識が大きく強まる。 ・派遣切りなどの非正規労働者問題や内定取り消しなどなどから雇用・労働条件も悪化意識が大きく高まる。 ・2008年の石油価格・穀物価格急上昇は落ち着いたため物価はやや回復。 ・食糧は1昨年来の食品偽装問題、中国製冷凍ギョウザ中毒事件などにより最悪だったのがやや回復(しかし低水準) ・医療福祉は、地域医療における医師不足問題、救急医療の受入困難等を反映して、なお悪化意識高まる(ただし医療への満足度は上昇傾向。図録1850、1852参照)。 ○2007年〜2008年
2007年9月の福田新政権誕生以降の状況を示している。 ・科学技術、防災、教育、治安は改善方向にある。 ・サブプライムローン問題の世界的広がりに対応して景気の悪化意識が強まる。 ・石油価格・穀物価格の上昇のため物価が悪化 ・食糧も相次ぐ食品偽装問題や1月末に明らかとなった中国製冷凍ギョウザ中毒事件などにより悪化 ・医療福祉は、財政的な制約を背景にした医療制度改革、医師不足、年金記録問題を反映して、悪化意識が高まり、大きく値を低下させている。 ・ニート・フリーター問題、パート労働者問題、非正規労働者問題などから雇用・労働条件は低い水準で横ばい。 ・格差の中でも地域格差の拡大が大きく意識されるようになり、地域格差の意識も悪化傾向。 ○2006年〜2007年
小泉政権末期、及び2006年9月に安倍政権が誕生してからの状況がこの意識調査の結果に反映している。 ・いじめによる子どもの自殺などの多発によって教育が図中の項目の最低となった。 ・外交は安倍政権誕生直後の訪中・訪韓により小泉政権下での悪化傾向が持ち直した。 ・医療福祉は、財政的な制約を背景にし、障害者自立支援法が2006年の4月、10月から施行となり、医療制度改革が年度中に進んだのを反映して、悪化意識が高まり、大きく値を低下させている。 ・景気は回復傾向が続いたものの、格差問題が大きくクローズアップされ、景気の意識も頭打ちとなり、ニート・フリーター問題などから雇用・労働条件も低下傾向となった。 ・格差の中でも地域格差の拡大が大きく意識されるようになり、地域格差の意識も低下が著しい。 ○1998年〜2006年
1998年12月から2006年2月までの推移は、丁度、小泉政権期(2001.4〜2006.9)の変化をあらわす格好になっている。 ・良い方向という回答率が上回っている分野としては、「通信・運輸」「防災」「医療・福祉」があげられる。「通信・運輸」はインターネット、携帯電話の発達をプラスに評価しているからであろう。「防災」「医療・福祉」は国民の安心を支える基礎であり、これらが、悪い方向に転落すると大変なことになる。もっとも、「医療・福祉」は2005年2月から2006年2月にかけて、良い方向が下方シフトした。 ・悪い方向という回答率が上回っている分野としては、「治安」が目立っている。「外交」も毎年悪い方向の程度が高まってきており、「治安」に次ぐ項目となっている。 ・「景気」あるいは「雇用・労働条件」は経済状況の改善の中で、悪化と答える比率の程度が低まってきている。ただし、非正規労働者、ニート・フリーターの増加の問題が浮上しているため、「雇用・労働条件」は「景気」ほど改善の方向へのシフトが見られない。 ・また、新たに「地域格差」の悪化意識が高まりつつある。
(2006年11月7日収録、2007年4月3日更新、2008年4月15日更新、2009年3月30日更新、2010年3月29日更新、2013年4月1日更新、2014年3月26日更新、3月30日資源・エネルギー項目追加、2015年3月23日更新、2016年4月11日更新、コラム追加、2017年4月3日更新、6月8日コラムに雇用・労働条件の推移図追加、6月16日治安推移追加、2018年4月6日更新、「国の財政」追加、「食料」削除、2019年4月6日更新、2022年11月1日更新、2023年3月18日更新、11月22日事件名付加、2024年4月1日更新)
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