統計数理研究所によって「日本人の国民性調査」が1953年以来、5年ごとに戦後継続的に行われている(同じ問を継続しているが問によっては必ずしも毎回聞いている訳ではない)。長期的な日本人の意識変化を見るためには貴重な調査である。この調査はすべて、全国の20歳以上(ただし2003年〜08年は80歳未満、2013年は85歳未満)の男女個人を調査対象とした標本調査である。各回とも層化多段無作為抽出法で標本を抽出し、個別面接聴取法で実施されている。2013年調査は10〜12月に行われ、回答者は、この問に関しては1,579人だった(回収率50%)。

 ここでは、欲しい子どもは男の子?それとも女の子?という問に対する回答結果についてこの問の調査のある1988年以降の推移をグラフにした。

 以前は男の子の方が良いとしていた方が多かったのに、今や女の子の方が欲しいとする者が多くを占めるようになったという変化がこの20年間に生じている。この変化は1988〜98年の10年間に主として生じており、その後は、余り変化がない。

 男女別に結果を見ると、男性は女の子を欲しいとする者が増えているが、なお男の子を欲する比率の方が多い。一方、女性では、女の子を欲する者が男の子を欲する者の3倍以上と圧倒的な多数となっている。

 女の子の方がよいと思うようになった理由としては、女の子の方が可愛いとか、将来子どもに世話やケアを頼みたいとか、子どもが一人だけなら一生楽しくつきあえる女の子が望ましいと親の利害の観点で考えているためと、もう1つ、生まれてくるなら女に生まれてきた方が楽しい一生が送れると思う子どものための観点(親心の観点)とがありうる。後者については図録2475参照。

 子どもが1人だけでない場合も含めた望ましい男女構成を社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査が調べており、その結果を図録2478に掲げた。こちらでも、ここでの結果とほぼ同様の傾向となっている。

 これは、日本だけの傾向なのだろうか。同じ質問を行っている東アジア4カ国比較調査の結果データを見てみると、日本では女の子が男の子を上回っているのに対して、韓国、台湾、中国のいずれも男の子が女の子を上回っており、日本だけの傾向であることが分かる。

 日本以外の国も少子化が進んでいる点では共通しているが、日本以外の東アジア諸国は日本の1988年の段階にあり、いずれ、日本と同じように、女の子の方を優先して欲しいというようになるのか、それとも、現在のままなのかは、不明である。中国や韓国では、男の子を欲しいという希望が、実際の生み分けまでに至っており(中国は図録8220、韓国は図録8900参照)、そういう状況のなかった日本とは状況が異なっている可能性も高い。

(2010年3月8日収録、11月1日東アジア比較データ追加、2014年10月31日更新)


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