回答にどのようなバイアスがかかっているかは不明なので、一応、インターネットを使えるような普通の男女が、皆、答えているとして分析することとする。 対象国は、34カ国であり、残念ながらこの年の調査では日本は含まれていない。具体的な対象国はスウェーデン、ベルギー、ポーランド、クロアチア、フランス、ドイツ、オランダ、英国、フィンランド、スロバキア、オーストラリア、オーストリア、ブルガリア、カナダ、チェコ、スペイン、デンマーク、アイスランド、イタリア、米国、ニュージーランド、ノルウェイ、ハンガリー、セルビア*、台湾、南アフリカ、インド、マレーシア、シンガポール、中国、ロシア、タイ、香港、ベトナムである。 質問項目の選び方の問題であるが、この会社のアンケート全般的傾向である興味本位を重んじる姿勢を反映して、性行動といっても、通常の「結婚前」あるいは「10代」の性交渉といった項目は採用されていない。ただ、「近親相姦」「獣姦」といったよりシリアスな項目も除外されている。最終的には自社製品の販売に役立てようとしているので、興味本位といっても人を不愉快にさせるような項目は除いているのであろう。 しかし、質問項目を見ると全体にノーマルとは言えない性交渉が取り上げられていることは確かであろう。表題は「乱れた性行動の各国比較」とするのが正しいのかも知れない。 項目として回答率が高いのは「一夜だけの情事Had a one night stand」であり、世界平均で45%の経験率に達している(英語の質問はHave you ever...?)。 次ぎに多いのは、「電話・手紙・メール・セックスHad phone/text/e-mail sex」と「オーガスムの見せかけFaked an orgasm」でありそれぞれ、28%、26%の経験率となっている。 この他は経験率が相対的に低いが、順番に項目名と経験率を掲げると「お金をもらったセックスPaid for sex」11%、「親友のパートナーとのセックスHad sex with your bestfriend's partner」10%、「同性とのセックスHad sex with someone of the same sex」8%、「上司とのセックスHad sex with your boss」3%である。「総て経験なしNone or the above」は32%である。 男だけでなく男女からの回答結果である点は留意する必要がある。各項目については、こんなに多いの?あるいはこんなものなの、といった感想があるであろう。 国別には、まず、先進国対途上国(富裕国対貧困国)という軸で回答率に傾向が見られるのは「お金をもらったセックス」である。図を分かりやすくするため、この項目の回答率の低い方から国を並べた。性に開放的だと言われる北欧スウェーデンでも、この比率は3%と最も低く、欧米の諸国がこれに続き、台湾以降のアジア途上国は14%以上の値となっている。欧米の中ではロシアが唯一22%と高い値を示している。最もこの値が高いのはベトナムの34%である。男女同数が回答、男性はお金をもらうことがないとするとベトナム女性の38%はお金をもらったことがあるということになる。 「お金をもらったセックス」以外の項目では、先進国対途上国(富裕国対貧困国)という軸で傾向的な回答率になっている項目は認められない。 「総て経験なし」は「乱れた性行動をしない」ともとれる。この項目の回答率が高いのは台湾、インド、マレーシア、シンガポール、中国、香港である。一見して、分かるとおり、インドを除くと中国人・華僑の多い国であり、儒教の影響から「乱れた性行動」には消極的であると捉えることが可能であろう。欧米の中では、ベルギー、ポーランド、フランス、スペイン、イタリアとカソリックが80%以上を占めている国で、この値は高くなっている。性行動に対する宗教の影響は、やはり大きいと言えよう。 逆に「総て経験なし」が低いのは、ベトナムを除くと、米国、英国、ニュージーランド、ノルウェイ、フィンランドといったプロテスタント系の諸国である。外形標準より内的心性を重んじる国柄であることが影響しているのであろう。 このように法則的に分析できる結果になっているので、この調査はそれほどいい加減ではないと思われる。 ベトナムに関しては、「一夜だけの情事」「お金をもらったセックス」が世界一高い反面、その他の「乱れた」性行動は非常に少ない。どのような事情が存在しているのであろうか。 各個別項目について、上位、下位3カ国の表を以下に掲げる。
(2005年6月11日収録)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|