高度経済成長期の所得向上の中で、耐久消費財の普及が進んだ。1953年は電化元年と言われているが、この頃登場した電気洗濯機、電気冷蔵庫、電気掃除機という「三種の神器」は高度成長期から安定成長期に移行する画期となった1973年のオイルショック頃にはほとんどの家庭で一家に一台の普及を見た。当時最先端の商品としてあこがれの対象であるとともに、これらの耐久消費財は家事労働にかける時間の短縮を可能とし、家事労働に従事することが多かった女性の社会進出にも貢献したと考えられる。 その後、1960年代から普及がはじまった乗用車、ルームエアコン、カラーテレビという「3C」と呼ばれる耐久消費財が、当時の一般家庭の夢の商品として黒白テレビを引き継いだカラーテレビから急速に普及していった。 その後も電子レンジ、VTR、またシステムキッチンや温水洗浄便座(シャワートイレ)、そして最近では、パソコン、デジカメ、携帯電話、VTRを引き継いだ光ディスクプレーヤー・レコーダーと次々と国民生活を便利にするような新商品が普及してきている。近年の特徴はIT製品、情報通信関連製品、また家電(家庭用電化製品)というより個電(個人用電化製品)が目立ってきていることである。 乗用車の普及率は頭打ちとなっている。高齢化の影響ではないかと思われる。 カラーテレビではブラウン管テレビから液晶、プラズマなどの薄型テレビへのシフトがほぼ完了している。2011年7月にアナログ放送が終了し地上デジタルテレビ放送(地デジ)に切り替わったことや近年の薄型テレビの価格低下もこれを加速した。2014年からはブラウン管テレビが調査対象外となった。 携帯電話は個人のものなので世帯普及率という指標はそぐわないが、一応掲載している。2014年には携帯電話の一部としてスマートフォンが初登場(54.7%、スマートフォン以外の携帯電話だけだと73.7%)。スマートフォンはその後も普及率が上昇しており、他方で、パソコンやデジカメ、あるいはテレビやレコーダーの普及率が横ばいあるいは低下の傾向に転じているのは、インターネット利用や写真撮影、動画視聴がスマートフォンで代替されているためと思われる。 2017年はこれまでふれたきたものの他にエアコンやシステムキッチンまでもが世帯普及率を低下させている。普及率算出の元になる保有台数の設問を買換えの設問の後に回したという調査票の変更の影響があると考えられる。スマホの通信費用が家計を圧迫しているためも考えられる(図録6366参照)。 なお、上掲以外の主要な耐久消費財として住宅の浴室と水洗トイレの普及率を以下に示した(図録2283より再録)。2013年の住宅・土地統計調査では、浴室や水洗トイレの設備があるかは調査項目から外れたのでデータは得られない。
(2005年10月17日収録、2006年4月24日更新、2007年8月10日更新、2008年5月13日更新、2009年4月20日更新、2010年4月20日更新、2011年5月19日更新、2012年4月18日更新、2013年4月17日更新、12月17日白黒テレビ追加、2014年4月18日更新、2014年12月31日浴室保有率・トイレ水洗化データ追加、2015年4月17日更新、2016年1月31日コラム追加、4月8日更新、2017年4月7日更新、衣類乾燥機追加、4月8日調査票変更のコメント、衣類乾燥機をシステムキッチンに変更、2018年4月9日更新、温水洗浄便座追加、2019年4月8日更新、2020年4月7日更新、2021年4月30日更新、2022年4月8日更新、7月15日コラムのスマートウオッチ普及、2023年4月10日更新、2024年4月9日更新)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|