先進国では世界的に太りすぎ・肥満対策が大きな課題になっている。OECDでは各国の肥満比率を各国について公表している。

 世界の肥満比率は一般には身長と体重から計算されるBMIが30以上の成人人口比率であるが、わが国ではBMI25以上を「肥満obesity」とすることが多い。国際的には25以上は「過体重Overweight」と定義される。

 肥満比率には測定調査と自己申告の2通りの出し方がある。測定に基づく肥満評価は身長体重の当人の勘違いを防げることから申告調査より正確で、より高い数字となるのが普通である。両方の値がある国での男女計の平均を求めると前者は後者の1.45倍となっている。

 ここでは、各国データを男女計の大きい順に並べた肥満の国際比較の図録を作成した。対象国はOECD34カ国であり、具体的には、肥満比率(測定値、あるいは申告値の測定値ベース換算値)の低い順に、日本、韓国、ノルウェー、イタリア、スイス、スロバキア、スウェーデン、オランダ、オーストリア、ベルギー、フィンランド、デンマーク、チェコ、フランス、トルコ、ポルトガル、ルクセンブルク、イスラエル、ポーランド、アイルランド、ドイツ、スペイン、英国、チリ、カナダ、スロベニア、エストニア、オーストラリア、ギリシャ、ハンガリー、ニュージーランド、アイスランド、メキシコ、米国である。

 米国が肥満世界一であることは知られているがデータ的にも確認されている。米国の他、ニュージーランド、オーストラリア、英国といった英語圏の諸国の肥満比率が高いのが目立っている。また、メキシコ、ハンガリー、ギリシャ、チリといった途上国的色彩の濃い国も肥満率が高い。

 所得の高い国ほど肥満比率が高いとは必ずしもいえないことは、メキシコが米国に次いで肥満比率が高い点、アジアの高所得国である日本や韓国の肥満比率は目立って低い点などから分かる。食生活様式の影響が大きいと考えられる。

 男女別には、メキシコ、ハンガリー、チリ、トルコでは女性の肥満比率が男性をかなり上回っている。日本からスウェーデンまで肥満率下位7位までの国では男性の肥満率が女性を上回っている。

 英国では、糖分の取り過ぎによる肥満や糖尿病が問題になっていることから、課税によって食習慣の改善を促すため、清涼飲料水に含まれる砂糖の量に応じて課税する「砂糖税」を2018年4月から導入すると発表された。CO2の発生量に比例した課税を行う炭素税(環境税)と同じ発想だ。砂糖含有率が高いと税率が上がるらしい。英メディアによると、税額は「一般的な330ミリリットル缶で6〜8ペンス(10〜13円)程度」と予測している。2014年に10%の税率を課したメキシコでは砂糖入り飲料の売り上げが12%減少したという(以上、毎日新聞2016年3月19日)。英国やメキシコではそれだけ肥満が深刻になっているということであろう。

 OECD諸国以外を含んだ世界の肥満比率については、図録2222参照。

 日本の男女別年齢別のBMIの長期推移は図録2200参照。

 また、肥満比率と心臓病(心疾患)による死亡率との相関については、図録2230参照。

 さらに、米国で肥満が社会問題化している点については、図録8800参照。

(2004年7月9日収録、11月28日対象国3カ国追加、2006年2月13日更新、対象国拡大、2010年1月19日更新、2012年6月29日更新、2015年8月11日更新、2016年3月19日英国の砂糖税のコメント追加)


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