がん(悪性新生物)の場合は死亡率で動向が表現されることが多いが、うつ病・躁うつ病や糖尿病では患者数が指標として適切である。 厚生労働省では全国の病院・診療所を対象に、3年に一度、入院・外来の患者数を調査している。10月下旬のある一日の入院、外来(初診、再診)の患者数を調べるが、再診患者は、その日に来なかった患者を平均診療間隔から推計し(仮に平均して毎月1回外来に来るならその日の再診患者数を30倍した数がほぼその日に来ていない者を含めた再診患者数となる)、全部を合計した患者数を総患者数と読んでいる(末尾参考資料参照)。 主な傷病別の総患者数を2017年の患者調査の結果で見てみると、高血圧が994万人と最も多く、これに歯周病の398万人、糖尿病の329万人、脂質異常症の221万人が続いている。 3年前の前回調査からの増加率では慢性腎臓病の32.8%が最も高く、歯周病の20.2%、肝臓がんの19.1%がこれに次いでいる。 個別の傷病の患者数の動きや男女年齢別患者数については、次を参照されたい。 ・うつ病・躁うつ病(図録2150) ・糖尿病(図録2127) なお、関連して、死因別死亡率の一覧は図録2080参照、また、病気のマイナスの影響度が厳密には傷病(病気・けが)のDALY値(寿命・健康ロス)の大小で表される点については図録2050参照。 以下に傷病別の総患者数の原データと主要指標の表を掲げる。女性比率が最も高いのは乳がんを除くとアルツハイマー病であり、脂質異常症がやはり7割台でこれに続いている。さらにうつ病・躁うつ病や骨折も6割台と女性患者が多いことが目立っている。逆に女性比率が低い(男性比率が高い)のは、慢性閉塞性肺疾患、胃がん、肝臓がん、慢性腎臓病などである。 ここで資料とした患者調査は医療機関対象の調査であるが、世帯対象の調査である国民生活基礎調査から傷病別の状況や患者数を図録2107で整理しているので参照されたい。 さらに、最末尾には、自分の病気が載っていないじゃないかという不満を解消するために、傷病小分類別のすべての傷病ごとの総患者数の一覧表を付しておいた。病気というのは沢山の種類に分かれており、これでも自分の病気が乗っていない場合もある。例えば私は睡眠時無呼吸症候群であるが、これは小分類の睡眠障害の中の睡眠時無呼吸という病名で基本分類には掲載されている(注)。e-Statの患者調査を検索すれば出てくるので関心のある方は見ていただきたい。 (注)「睡眠障害」患者57.1万人のうち「不眠症」が32.4万人。「睡眠時無呼吸」が22.8万人である。
傷病小分類別総患者数(2017年) 単位:千人
(資料)厚生労働省「患者調査」 (2015年12月19日更新、2019年3月5日更新、2022年3月11日本文内表の年次表記訂正)
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