先進国では移民の増大が社会問題、政治問題となっている国が多い。ここでは先進国全体の長期的な移民人口比率の推移をグラフにした。

 移民人口は一般に外国生まれの人口と定義される。先進国全体(OECD諸国全体)の移民人口の比率を1960年以降5年おきにあらわしたグラフを見ると1960年の3.9%から2015年の10.0%へと一貫して増えてきていることが分かる。

 国連データで2020年までの高所得国の移民人口比率を調べると、1990年〜2020年に7.4%から14.7%へとやはり急増している。高所得国には中東産油国が入るため2015年までのOECD諸国の値より高くなっていると考えられる。

 また毎5年の移民人口比率の増加幅を見ると、1985〜90年を境に拡大傾向が加速したことが分かる。冷戦の終焉が人々の移動の妨げとなっていた国境の壁を低くしたといえよう。

 先進国全体の平均が10%に達しているのに対して日本はなお2%前後と低い水準に止まっている。

 日本の場合は、より確かな継続的データとして国勢調査の外国人人口の比率を付記した。この場合2015年で国連推計の1.7%より少ない1.4%となっている。ここでの外国人には日本生まれの在日外国人が2015年でも2割弱含んでいるので、日本国籍を取得して帰化した外国生まれ人口と差し引きしても、移民人口は外国人人口より少ないと考えられる(図録1180参照)。国立社会保障・人口問題研究所の人口移動調査によれば外国生まれの人口比率は1.1%である(2011年)。

 ただし、2020年では双方とも2.2%とかなり上昇している。

 近年のOECD諸国の移民人口比率については図録1170a、図録1171を参照。


(2012年7月11日収録、2015年4月13日日本の値のデータ源を世銀推計から国勢調査に変更、2017年1月12日更新、2023年8月18日国連データで更新、コラム追加)


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