OECD諸国の移民人口比率(外国生まれの人口の比率)をグラフにした(主要国の移民人口比率の推移は図録1171参照。各国で移民問題がどれほど深刻化しているかは図録9600参照)。Eurostatによる欧州諸国のデータは図録9026参照。

 最も移民人口比率が高いのはルクセンブルクの47.3%であり、これに20%台のオーストラリア、スイス、ニュージーランド、イスラエル、カナダが続いている。カナダの投資移民とその廃止の影響については図録8032コラム参照。

 ルクセンブルク、オーストラリアなどでは、同じOECD諸国からの高学歴の移民も多い点については図録3840参照。

 主要国のドイツ、米国、英国、フランス、イタリアの移民人口比率は10〜16%の水準にある。

 日本については、外国人登録によれば、外国人人口は2009年末で219万人、1.7%である。国立社会保障・人口問題研究所の人口移動調査(サンプル調査)によれば外国生まれの人口比率は1.2%である(2006年調査、2011年調査は同じ1.1%)。日本の場合はいわゆる帰国子女が相当の割合を占めていると考えられる(注)。日本の移民人口比率がいかに欧米諸国と比較して低いかがうかがえよう。

(注)2010年の国勢調査の移動人口集計によれば、5年前に外国に住んでいた移動人口のうち日本人が22万人、外国人が36万人となっている。

 日本では移民受入を基本的に行っていない理由として、異質なものを受け入れる気風がない点がよく指摘されるが、フランスの歴史人口学者のエマニュエル・トッドは、そうではないと言う(パリのレストランでのインタビュー発言、毎日新聞2016年12月7日)。

 日本人は、「違いを受け入れることが難しい、日本人は外国人が嫌いだ、と言われてきた。しかし、私は、15、16回日本に来ましたが、そうではないと思います。日本社会では人間関係がとても調和がとれている。日本人同士だとうまくいく。移民に反対するのは外国人が嫌いだからではなく、自分たちだけでうまくいっているから、その安泰感が大事だと思っているのです。フランスではフランス人同士がお互いに不愉快な人間関係だから、外国人が来ても大丈夫なんです」。

 なお、日本と並んでアジアのOECD加盟国である韓国は日本と同様OECD報告書(2015年版)では外国生まれの人口比率は掲載されていない。掲載されている外国人人口比率は2.0%(2011年)と日本(1.6%)より若干高いだけのレベルである。

 2011年との比較では、イスラエルやバルト3国を除くとおおむね移民人口比率は上昇している。

 移民が成人スキルの水準に及ぼす影響については図録3936参照。

 図に掲載した国数はOECD35か国である。具体的には。移民人口比率の高い順に、ルクセンブルク、オーストラリア、スイス、ニュージーランド、イスラエル、カナダ、スウェーデン、オーストリア、アイスランド、アイルランド、ベルギー、ドイツ、ノルウェー、エストニア、スペイン、英国、米国、オランダ、フランス、ラトビア、スロベニア、ギリシャ、ポルトガル、デンマーク、イタリア、チェコ、フィンランド、ハンガリー、リトアニア、チリ、スロバキア、トルコ、ポーランド、日本、メキシコである。

(2012年1月16日収録、1月31日(注)追加、7月11日更新、2013年2月8日人口移動調査の結果更新、6月30日更新、2015年5月3日更新、10月26日更新、2016年12月9日トッド発言引用、2021年9月21日更新)


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