そこでここでは、OECD諸国について、高学歴者(大卒以上)のOECD諸国内の流動比率、及び非OECD諸国からの流入者の比率をグラフにした。なお、高学歴を身につけたのが出身国でとは限らず、移動した先の国で学歴を得た者も含んでいる点には注意が必要である。 高学歴人材の流入率20%以上とその高さが目立っているのはルクセンブルク、オーストラリア、カナダ、スイス、米国、ニュージーランドであり、ニュージーランドを除くと流出率を大きく上回っており、流入率から流出率をひいた純流入率も高くなっている。 このうちカナダと米国では、OECD諸国からの流入者より非OECDの途上国からの流入者の方が多くなっており、北米では確かに途上国有能人材の活用が進んでいる状況が明確である。 一方、頭脳流出で目立っているのは、OECDの中でも経済発展度の低いスロバキア、ポーランド、メキシコなどである。 アイルランドは高所得国ではあるが、頭脳の流出入ともにレベルが高くが、その中で流出の方が多い点で特別な地位を占めている。ニュージーランドも流入も多いが流出も多い点で目立っている。 逆に流出入ともに水準が低い点で目立っているのが日本、韓国である。流出については、もともと流動率が低いためであるか、いったん流出しても母国に戻る比率が高いためか(それだけの高学歴者のニーズがあるためか)見解が分かれる。流入については、確かに他のOECD諸国と比較して高学歴外国人を受け入れて自国の発展に活用する仕組みが言語の問題を含めて整っていないためとも言える。
(2007年8月3日収録)
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