(注)避妊実施率は2007年までの各国で入手可能な調査結果。合計特殊出生率(TFR)は2000〜2005年推計 (資料)United Nations, World Contraceptive Use 2009; World Population Prospects: The 2008 Revision |
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避妊実施率のデータは、2007年までに各国で行われた調査結果を取りまとめている国連の資料(World Contraceptive Use 2009)による。なお各国の避妊調査は通常15〜49歳の有配偶ないしそれに準じた女性に対して現在避妊しているかどうか、またどんな方法で避妊しているかをきいている。同資料による避妊法の国際比較については図録2266参照。 アフリカ諸国の相関を見ると、避妊を実施している有配偶女性が多いほど出生率は低くなっており(すなわちマイナスの相関が見られ)、避妊の普及率が出生行動に大きく影響していることがうかがわれる。 エジプト、アルジェリア、モロッコ、チュニジアといった北アフリカ諸国、あるいは南アフリカでは避妊実施率が60%程度と高く、出生率がそれに応じて低いという傾向が見られる。これに対して西アフリカや中央アフリカ諸国では、避妊実施率が低く、出生率が高いという傾向が見られる。 アジア諸国に関しては、アフリカ諸国ほど、低避妊実施率・高出生率に多くの国が集中しておらず、比較的に高避妊実施率・低出生率の国が多い。両者のR2値もアフリカ諸国が0.6542に対して、アジア諸国は0.4871と相関度が低くなっており、避妊実施以外の要因がアフリカ諸国より大きくなっている。 アフリカ諸国もアジア諸国も近似線の傾きは-0.05程度となっている。すなわち避妊実施率が20%ポイント上昇すると女性が一生に生む子どもの数は1人少なくなるという勘定である。 先進国がほとんどをしめるOECD諸国では、全体的に避妊実施率は高く、出生率も低い水準となっている。R2値が非常に低いことからも分かるとおり、両者はほとんど相関していない。すなわち避妊の実施と家族計画は当たり前となっており、むしろ、政府の少子化対策など別の要因が出生率に影響を与えていることがうかがえる(図録1580、1586、1587参照)。 OECD諸国を国別に見ると、日本とオーストリアは、避妊実施率が低いのに出生率はかなり低い水準にある点が特徴である。出生率が低いことでは共通の日本と韓国であるが避妊実施率には大きな差がある。やはり日本人のセックス頻度の少なさが影響していると思われる(図録2265)。OECD諸国の中で出生率が高い点で目立っているのは、イスラエル、メキシコ、トルコ、米国である。メキシコとトルコは、なお、途上国的性格を残しているためと思われる。イスラエルは国内のユダヤ人の比率が低くならないように努力している結果と考えられる(注)。米国は出生率の高いヒスパニック系が多いなどの理由が考えられる(図録8650参照)。 (注)エマニュエル・トッド、ユセフ・クルバージュ「文明の接近−「イスラームvs西洋」の虚構」藤原書店(原著2007)によれば、ユダヤ系イスラエル人女性の出生率は先進国の女性としては異例な2.60(2005年)であり、イスラエル以外に居住するディアスポラのユダヤ人女性の1.5(推計)よりずっと高いという。またエルサレムのユダヤ系住民では3.95、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地では4.70とさらに高率という。「入植者の過剰出生率は、イデオロギーだけの効果によるものでも、宗教だけの効果でもない。それはイスラエル国家の直接補助が支給する多額の補助金で支えられているのである。パレスチナ人が対決している相手は、こうした拡大の人口動態、戦闘の人口動態なのだ。」(同上書、p.147)こうした点については下表も参照のこと。
避妊実施率(2007年までの最新年)と合計特殊出生率(TFR、2000〜2005年推計)
(資料)United Nations, World Contraceptive Use 2009; World Population Prospects: The 2008 Revision (2010年12月24日収録、2012年8月1日ユダヤ人女性の出産子ども数の表追加)
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