この調査の結果から、ここでは、日本人が好きな韓国の食べ物と韓国人が好きな日本の食べ物についての回答結果(複数回答)をそれぞれ回答率の高い順にまとめた。 この結果を見ると、双方の国民が互いに他の国の料理を同程度に好んでいる様子がうかがえる。日本人が好きだといっている上位2つの韓国料理、すなわち焼肉とキムチに対して、約6割の日本人が好きだといっている。また韓国人が好きだといっている上位2つの日本料理、すなわち「さしみ」と「すし」に対して、約6割の韓国人が好きだといっている。また、「好きな食べ物はない」という回答は日本は8%、韓国は7%とほとんど同程度である。 要約すると、日本人は焼肉やキムチなどの韓国料理が好き、韓国人は、さしみやスシなどの日本料理が好き。互いに他の料理に対する愛好度は同程度。 韓国の外食事情は図録8885参照、また、韓国人が好きな韓国料理については、図録8890参照。 日本における韓国料理の歴史は、戦後、肉料理に馴染みが薄かった日本で在日コリアンがはじめた焼き肉料理店からはじまった。辛子明太子、焼き肉のタレ、キムチなどが親しまれるようになり、家庭への普及が進んだ(下の年表参照)。一方、韓国では、日本発のインスタントラーメンがラーミョンという食品として日本以上に普及するようになった(図録0445)。その後、ソウル・オリンピック(1988年)やサッカーW杯の共同開催(2002年)、冬ソナブーム(2004年)などを契機に日韓相互に観光旅行客が増加して(図録7100)、本場の韓国料理や日本料理を食べるようになり、さらに深く相互の料理に親しむようになった。かつて日本料理の定番は「刺し身にコチュジャン」だったが今は本場に近い食べ方となる。また、子どもの頃の釜山の味を思い出しながら日本で作られた辛子明太子が今は韓国で日本の家庭の味として売り出される(朝日新聞2015年1月5日)。
上に見たように日本人と韓国人は相互の国の多くの料理が好きであるが、相互の料理に対する興味の程度は、両国民でやや異なる。以下に示したように、日本人の韓国料理への興味の方が韓国人の日本料理への興味より高いようである。もっともこれは、日本人が一般に外国料理に興味が強いためだからという見方もできるだろう(図録7840参照)。
取り上げた料理は、それぞれ13品目、すなわち、日本人が好きな韓国料理としては、焼肉、キムチ、ビビンバ(韓国式混ぜご飯)、チジミ(韓国式お好み焼き)、冷麺、チゲ(鍋)、ユッケ(牛刺し)、ナムル(和え物)、クッパ(韓国式雑炊)、ブルコギ(味付け焼肉)、サムゲタン(参鶏湯)、マッコリ(韓国の醸造酒)、韓定食(コース料理)、韓国人が好きな日本料理としては、さしみ(魚刺身)、すし、うどん、そば、豚カツ(日本式)、天ぷら(揚物類)、おでん(日本式)、ラーメン(日本式)、焼き鳥(串焼き)、どんぶり(飯)、すき焼(日本の鍋)、お好み焼き、日本酒、会席料理(日本コース料理)である。 (2011年5月26日収録、2015年1月5日日韓、食の交流年表と関連コメント追加、8月24日日韓相互興味分野図追加)
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