図録9520で神の存在・死後の世界に対する見方(2000年)を掲げ、多くの人の関心を呼んだ。次には、宗教心、信仰心の変化と言うことで、この点に関しての時系列変化が気になるところである。

 実は、少なくともヨーロッパの主要国に関しては、世界価値観調査以前に、ギャラップ調査で同様の質問で調査が行われていたことが分かった。神の存在に関しては1968年以降、死後の世界については1948年以降のデータが得られるので、グラフにした。なお、1981年以降のデータについては世界価値観調査の欧州版ともいうべき欧州価値観調査から採った。また、日米についても参考までに世界価値観調査の結果を示した。

 ヨーロッパの対象国としては、年次的に多くのデータを得られるフランス、英国(北アイルランドを除く)、ドイツ、オランダ、スウェーデン、フィンランドを掲げた。

 死後の世界、及び神の存在を信じるかどうかについては、どの国でも、神の存在を信じている者の方が死後の世界を信じている者より多い。時系列変化については、総じていえば、戦後、大きく信仰心が衰えたが、近年では、神の存在はなお信じる者が減っているが、死後の世界については、横ばい傾向にある。

 神の存在を信じる者の比率は、英国、フィンランドが70%程度でもっとも多く、オランダは60%程度、フランス、ドイツ、スウェーデンは50%前後とかなり落ちてくる。ドイツが1981〜1999年に急落したのは、西独のみが共産圏だった東独を含むようになったからだと思われる。

 参考に掲げた米国との比較では、米国が特段に神の存在・死後の世界を信じる者が多い国である(図録9525参照)のと比較すると欧州はこの点に関しずっと懐疑的な、あるいはさめた見方をしていることがわかる。特にスウェーデンはベルイマンの映画にも表れているように早くから神の存在への懐疑が高まっている(図録1505参照)。

 日本との比較では、日本は一神教の国ではないので神といっても思い描いているものがやや異なるだろうが、それにしても、神の存在については欧米に比べて信じる者が少ない。欧米で日本を下回っているのはスウェーデンだけである。ここでふれた調査とは異なり細かく神観をきいたISSP調査では頭から神を信じている者は日本の場合世界一少ない(図録9528参照)。

 死後の世界については欧州と日本は余り違いがない。なお、この図録でははっきりしないが、図録3971c(予定)によれば、死後の世界を信じる日本人は増える傾向にある。

(2007年2月27日収録、2014年5月27日更新、2015年7月23日日米追加、2016年2月24日スウェーデン、日本についてのコメント補訂)


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