まず、2016年春の段階で「大問題である」という回答が多い項目、すなわち深刻度の高い項目については、トップは、「役人の汚職」、2位は「薬の安全」、3位は「食の安全」、4位は「水質汚染」、5位は「貧富の差」であった。これらは、中国における大問題として日本でもたびたび報じられる。 第6位の「物価高騰」は余り報じられなかったが、一時期はトップだった。2011年には対前年6%物価高の月もあったこともあり(図録4722参照)、中国人にとっては最大の関心事だったということが分かる。2011年には野菜を少しでも安く買おうと狂奔する人を指す「菜奴(ツァイヌー)」という流行語も生まれたという(NHK-BS地球アゴラ2011年11月20日)。 次に、大問題とする回答率の推移を見てみると、2016年は全般的に大問題とする回答率が高くなった。 個別的には、「役人の汚職」が相変わらず高い。また、「薬の安全」や「食の安全」の上昇が目立っている。さらに、「犯罪」が2016年に高くなったのも目立っている。 中国人が日本人より食品の品質に不安をもっていることは2003〜04年のデータ(図録8040)で見たが、さらに以下のように中国の食に係わる問題が立て続けに発生しており、このため食の安全が大問題とする中国人が増えているのである。日本でも戦前には大規模な食中毒事件が起っていた点については図録1964参照 「薬の安全」や「製造品の品質」も上昇幅が大きく、食の問題と同様、国内で売られている商品の安全性に対する不安が大きくなっている点が、近年の最大の変化だということが分かる。 中国における「食の安全」、「大気汚染」、「水質汚染」関連年表
「ヘルスケア」の上昇も目立っており、将来の高齢化が心配される中で、社会保障関係の不備に中国人も気づき始めているということなのであろう。
一時期、非常に大きかった「大気汚染」がやや低くなっているのはどうしてだろう。対策が進んでいるのだろうか。 (2013年4月16日収録、2014年7月2日中国物価高騰コメント追補、7月6日更新、7月24日年表改訂、2015年10月1日更新、2016年10月9日更新、図形式変更)
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