東京と大阪の問屋街についてはそれぞれ図録7832と図録7833でふれた。

 上図のように、京都には、東京や大阪にような集散機能に特化した問屋街というより、西陣機業地に代表されるような伝統産業とむすびついた生産、卸、小売の同業者町が数多く立地している。

 しかし、中には、江戸時代から三井越後屋や松坂屋も本拠を置いていた室町繊維問屋街(呉服問屋街)のように、東京、大阪より古い歴史を有する由緒ある問屋街もある。

 図に掲げた通り、1970年前後における主な同業者町は以下の通りである(二宮書店「日本地誌14」1973年)。
  • 西陣地域の織物業者
  • 室町通りの織物問屋
  • 七条大和大路大黒町の扇子業者
  • 千本二条から下嵯峨にいたる西高瀬川沿いと伏見木挽町などの材木業者
  • 錦小路の生鮮食料品店
  • 東・西両本願寺前や万寿寺通りの仏具商
  • 二条通りの薬種業者
  • 清水寺門前の陶器商
  • 夷川通りの家具商
  • 河原町塩小路の皮革靴商
  • 三条大橋周辺の旅館街
 このほか、地名としては、麩屋町、魚棚(うおのたな)、八百屋町、釜座(かまんざ)町、鍛冶町、塗師屋町、大工町、紺屋町、衣棚町、竹屋町、石屋町、米屋町、丸太町、材木町、樵木町、車屋町、納屋町など実に多くの業者名が残っている。



(2021年9月22日収録、9月23日コラム)


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