鉄道や航空機で乗り換えなしに行けない都道府県は白抜きであらわされているが、東京と大阪ではかなり差がある点が興味深い。 東京まで1本で行けない都道府県は奈良と三重の2県だけであるが、大阪まで1本で行けない地域は北関東から北陸にかけての8県、また徳島を含めると全9県にのぼっている。これは、近代以降に我が国の交通網が東京を中心に整備されたからである。 街道や船舶でのつながりが中心だった江戸時代以前にはこんな差はなかったといえよう。大阪と北関東は東山道ないし中山道で直接つながり、大阪と北陸は北陸道や北前船で直接つながっており、北陸と東京はむしろ直接つながっていなかった(北前船ルートについては図録7809参照。このため関東が昆布食後進地域だった点は図録0668参照)。 同じサイトから東京まで1本で行ける場合の、交通機関別の内訳を下に掲げた。東京からそう遠くない地域は鉄道と競合するため航空路線がなく、鉄道でしか行けない県が多い。それより遠い本州及び福岡、北海道は鉄道でも航空機のどちらでも1本で行ける。ところが福岡以外の九州・四国・沖縄は航空機でしか1本で行けない。 案外、盲点なのは東京から岡山経由で香川の高松まで、あるいは岡山で半分分離したのち鳥取の米子を通り、島根の出雲市まで1本で往来できる寝台列車「サンライズ瀬戸・出雲」の存在だろう。 なお、現在は東京まで1本で行けない三重も昭和59年(1984年)まではブルートレイン1本で行けたという。つまり、それまでは、古代の中心都市奈良がもっとも東京を中心とした交通網のなかで取り残されていたわけである。取り残されたのは平安京に都が移って以来であり、そのため「1000年の大いなる眠りに入っていた」とも評される奈良県では、ホテル・旅館数も非常に少なくなっている(図録7660)。 (2024年4月6日収録)
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