上位5位は東京、大阪、北海道、静岡、愛知の順、下位4位は、佐賀、鳥取、徳島、奈良の順となっている。 大都市圏中心都市や主要観光地を抱える地域でホテル・旅館の客室数が多くなっているといえよう。 意外なのは、法隆寺、大仏、飛鳥遺跡、平城京跡を抱えるわが国の1級観光地であり、修学旅行客も多いと思われる奈良県のホテル・旅館数が下位4位である点である(2012年度末には最下位だった)。 これは、奈良が、奈良時代までは、大陸から東シナ海、瀬戸内海、河内湾、大和川を経たシルクロードの終着点として栄えたが、その後、平安遷都(794年)によって、国際的、全国的な交流軸の結節点が淀川水系の京都に移ったため衰退し、「1000年の大いなる眠りに入っていた」ためとされる(竹村公太郎「日本史の謎は「地形」で解ける」PHP文庫、2013年)。 いまでも東京へ鉄道・航空機で1本で行けないのは全国都道府県の中で三重と奈良の2県だけである(図録6868参照)。 なお、奈良は国宝の数が203件と東京の281件や京都の234件より少なくなっているが、これは正倉院御物が天皇家の所有物であり、戦前からの慣例で文化財保護法による国宝・重要文化財の指定対象外となっていからであり(例外的に建物自体がまとめて1件と数えられている)、もし9000点に上る宝物のうち然るべき物を国宝に指定したら圧倒的に日本1となる、というのが奈良県民の主張である(2022年に私が講演で奈良を訪問した時に聞いた話)。 下図には参考までに、ホテル・旅館客室数の絶対数ではなく人口1万人当たりの密度を示した。上位5位は、沖縄、山梨、長野、石川、福島の順、下位3位は埼玉、神奈川、奈良の順となっている。やはり観光に特化した地域や温泉の多い地域で密度が高くなっていることが分かる。逆にベッドタウン地域では密度が低く出る傾向がある。 (2022年12月28日収録)
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