最も多いのは慶応大出身であり、次ぎに上智大、早稲田大、青山学院大と続いている。東京の私大出身が多いのが特徴である。 NHKに限ってみると、1位は慶応大だが、東京大、お茶の水女子大など国立大学の出身者もかなりいる。
上の表に民放在京キー局の女子アナの出身大学を多い順に掲げた(2人以上のみ)。フジで早稲田大が最も多くなっているほかは、いずれも慶応大が首位となっている。その中でも日テレは慶応大が8人で多く、そのほかは早稲田大の2人のみであり、慶応大に集中している点が目立っている。 関西の大学は19位に大阪大がはじめて登場していることからも分かる通り、少数派となっている。この点、キャビンアテンダントの出身大学に関西の大学が多いのと対照的である(図録6888)。 東洋では儒教精神から家庭の婦女が社交面を担当することが避けられて来たので、宴会専門家として、日本では、古来、中世以前の遊女・傀儡女・白拍子とそれを引き継いだ近世の芸妓(芸者、芸子)が歌舞音曲の芸能に堪能なばかりでなく、ニュース・情報・教養文化面での知識も豊富で、社会から期待された社交面の機能を果たしてきた。 女優、歌手と並び、現代の一流芸妓とも呼ぶべき女子アナは、政財界・演劇界・芸能スポーツ界との交流も深く、世間の話題を集める点、若い女性のあこがれの職業である点でもかつての人気芸妓と似ている。 永井荷風は、明治から大正、昭和にかけ、時代の流行が芸者、女優、カフェー女給へと移り変わっていったのに対応して彼女らを題材とする小説を書いたと述べている(図録5690参照)。 詩人萩原朔太郎は「新芸妓論」(1935年)の中で芸妓改革論を展開している。「芸妓と話すことは世帯の地味な話でなく、生活の明るい世界における情操即ち芸術や、思想や、娯楽や、社交やのことである。ゆえに芸妓は、教養ある男子の話し相手として、十分なる知識、趣味、才能を持たねばならない。(中略)昔の江戸時代の芸妓は常に当時の最も新しい、最も文明に先駆した趣味をもっていたゆえに今日の芸妓が真に正しい芸妓たるためには、現実の最も新しいハイカラ趣味をもたねばならぬ。(中略)もし出来るならば、今後の芸妓は、よろしく洋装すべきである。何よりも先ず、あの三味線という楽器を廃し、代わりにピアノやマンドリンを弾くようになることだ」(三谷憲正編「コレクション・モダン都市文化 (22) 花街と芸妓」ゆまに書房(2006年))。萩原の理想は、マスコミという特殊な局面ではあるが、高学歴の女子アナという形で一部が実現したと言ってもよかろう。 下に参考までに男性アナウンサーの出身大学ランキングのデータ・グラフを図録5661より再掲した。女子アナには慶応大出身が多い(次位の2倍以上)のに対して、男性アナウンサーの場合は、早稲田大と早稲田大より若干少ない慶應義塾大という私大の両雄出身者が他を引き離して多くなっている。 (2011年1月24日収録、11月14日更新・CAとの対比、2012年7月20日更新、2013年8月19日更新、2014年7月1日更新、2015年5月24日更新、2016年4月29日更新、2017年2月3日一時掲載止の後、広告を削除し、コメントを改変して再掲載、2018年6月13日出所を変更し広告を再掲載)
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