外車販売台数の推移を示した。ここで外車とは、輸入乗用車のうち日本メーカーではなく外国メーカーのものを指す。

 外車と日本人の関わりを、年表風に整理すると以下の通りである。

 外車を乗り回す行動様式はバブル経済の象徴でもあったが、外車の販売台数のピークは、実は、バブルが崩壊した後の1996年であり、販売台数レベルもバブル期ピークよりおよそ5割増しであった。一般的にクルマが売れる経済状況にあったかという要因を取り除くため新車販売台数全体(軽自動車を除く)に占める外車の比率の推移を見ると、1990年に4.9%のピークの後、いったん2〜3年下落したが、再度、1996年の8.4%の2度目のピークに達した後、横ばいに転じている。

 こうした動きは、1990年代前半は輸入品の購買に有利な円高がバブル期よりも進んでいたためという要因もあるが、バブル期的な精神構造が本当に崩れたのは、1997年の大型金融破綻まで繰り延べになっていたという理由が大きいと考えられる。この点に言及した図録として、ディスコ流行などの図録2670、自殺、血圧、塩分摂取などの図録2758などを参照。

外車と日本人
1950年代
〜60年代
米国車(アメ車)が憧れの対象
1950年代 欧米車を日本のメーカーがノックダウン生産し、販売(ただしハイヤー、タクシー向け中心)
1970年代 オイルショックにより燃費の悪いアメ車の人気凋落。輸入の中心は欧米車へ
1970年代半ば ランボルギーニ・カウンタックに代表される「スーパーカーブーム」
1980年代後半 バブル経済とともに外車購入層が富裕層の一部からより広い層に広がる(BMW3シリーズが「六本木カローラ」、メルセデス・ベンツ190Eが「小ベンツ(こべんつ)」などと皮肉られる)
1990年代前半 バブル崩壊で一時期落ち込むものの、その後、円高もあって外車販売台数増加
1996年 外国メーカー車輸入台数のピーク
1998年以降 長期低迷
2009年 リーマンショック後の不況で外車販売台数最低
2013年 去年までの円高の影響とアベノミクス効果で外車販売台数が回復

 為替レートとの関連では、円高のピークの1〜2年後に外車販売台数のピークが訪れていることが分かる。

 2013年は、外車販売台数では1996〜97年に及ばず、過去最高ではないが、外車販売比率では9.7%と過去最高となっている。これは、先進技術や高品質と価格のバランスの取れた小型モデルを各外国メーカー車ブランドが投入しているためと考えられる。

 2017年は、外車販売台数は30.5万台と30万台を越え、1998年以降最多となった。台数では1996年に及ばないが、外車販売比率では以前を上回り、4年連続して10%を越えている。

 外車のブランド別の販売台数ランキングを以下に掲げた(2016年)。上位5位をドイツ車が占めており、人気のほどがうかがわれる。米国車はジープが7位と比較的上位のほかは、フォードが15位、キャデラック、シボレーが22〜23位と振るわない。この5年の販売台数推移でも、2015年9月に排出ガス規制不正問題が発覚したフォルクスワーゲンを除く主要ブランドで販売台数増となっている中でジープを除く米国車は販売台数減となっている。米国のトランプ新大統領は日本の自動車市場が閉鎖的なので米国車の輸入が増えないと市場開放を要求しているが、国内の販売条件は欧州も米国も日本も同じなので米国企業の努力不足と言わざるを得ない。


(2014年9月29・30日収録、2017年2月12日更新、外車販売台数ランキング、2018年2月16日更新)


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