どのデータでも日本の公務員数は先進国の中で最も少ないという結果が得られている。 ここで使用したOECDが取りまとめたデータ(Government at a Glance 2009)は、相互比較を目的として各国からSNA定義に沿って収集した数字によっており、信頼性は高いと考えられる。 公務員の範囲であるが、GDP統計作成の国際基準であるSNAの定義による「一般政府」の雇用者を指している。法律的な公務員資格の有無は問わない。参考のため、図には、一般政府に含まれない「公的企業」の雇用者についても準公務員ということで、データのある国のみ表示した。 SNA上の一般政府は、企業、金融機関、NPO、家計と並ぶ制度部門別分類の5大部門の1つであり、中央政府、地方政府、社会保障基金からなっている。経済活動別分類(産業分類)とは異なっており、教育、医療なども公営部門は一般政府に含まれる(この点は産業分類による公務のみを取り上げた図録5190の第1図とは異なっている)。社会保障基金は、公的に義務づけられた医療、年金、雇用保険などの会計を扱う団体であり、国保、健康保険組合、協会けんぽ、国民年金、各種共済組合、雇用保険特別会計などがそれに当たる。ただし健康保険組合でも給付経理の部分のみが社会保障基金に該当する。 政府機関でも一般政府、公的企業、民間企業のいずれに該当するかは個別に決められている。例えば、文部科学省関連の政府機関の例では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は中央政府、理化学研究所は公的企業、海洋研究開発機構は民間企業の扱いとなっている(国民経済計算年報確報「利用上の注意」国民経済計算における政府諸機関の分類)。なお2005年当時の郵政公社が現在は株式会社化されているが、どちらも公的企業扱いである。 前置きが長くなったが、データについては図の通りである。 日本はここで掲げられたOECD26カ国の中で最も少ない5.3%である(働くものの5.3%が公務員)。OECD26カ国の平均は14.3%であるので、日本は先進国平均の4割以下の水準の公務員しか抱えていないことが分かる。小さな政府の代表といわれる米国は14.1%と少なくとも政府雇用者からいえば決して小さな政府ではない。 最も公務員数が多いのはノルウェーの28.8%、第2位はスウェーデンの28.3%である。 公的企業の雇用者の比率は、東欧を除くと、フランスとオランダが大きい(フランスの場合、図の注の通り、さらにデータに含まれない公共機関があるという)。日本の公的企業の比率も韓国より小さく、米国と同等の小さいな方である。 なお大きい政府か小さな政府かは公務員数だけでなく財政規模からも測る必要がある。両方の指標からOECD諸国の各国の大きい政府か小さな政府かを図録5194で見ている。 データを取り上げた国は26カ国であり、具体的には、公務員数対労働力人口比の小さい順に、日本、韓国、スイス、トルコ、スロバキア、オーストリア、ドイツ、メキシコ、オランダ、チェコ、スペイン、ポーランド、ポルトガル、オーストラリア、米国、ギリシャ、イタリア、英国、アイルランド、カナダ、ベルギー、ハンガリー、フィンランド、フランス、スウェーデン、ノルウェーである。
(2010年7月29日収録、2011年10月14日「ギリシャの公務員数」コラム追加、10月15日同追加)
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