ここでは、独自調査の結果ではなく、各国のGDP統計から得られるデータに基づいた公務員数と公務員給与総額についての新しい年次のOECD比較データを掲げた。 図に掲げた通り、公務員数も公務員給与も国全体に占める割合は日本の場合OECD諸国中最小である。日本の場合、公務員の仕事範囲が非常に絞られていることがうかがわれる。 日本ほど「小さな政府」の国はないといってもよかろう。その理由としては、もともと日本人は国に依存するのがきらいという側面と長く自民党単独政権(あるいはその変形の自公政権)が続き、他国のように国政選挙のたびに、生活に困っている国民を公務員に採用するという人気取り政策を競わなくて済んできたという要因の両方が考えられよう。 公務員の給与水準を評価するために、下には、上掲の2つの比率の相関図を掲げた。 OECD諸国の相関を見ると、当然ながら、公務員数割合が大きいほど公務員給与の対GDP比は大きくなる。 しかし、注目するべきなのは、回帰傾向線の傾きは1よりかなり小さいという点である(傾きは0.352)。公務員割合が増加するということは保健医療分野などに従事する公務員やアドホックな雇用も増えるということであり、女性比率も高まるということである。そうであれば、高学歴で給与水準の高い行政事務プロパーのキャリア公務員の割合は少なくなり、給与水準も下がってくるという傾向をこれはあらわしている。 そうであれば、こうした関係をあらわしている回帰傾向線より上の国は、相対的に給与水準が高く、下の国は給与水準が低いと評価できよう。回帰傾向線よりかなり上のギリシャ、アイスランドなどは給与水準が高く、回帰傾向線よりかなり下のスウェーデン、リトアニア、アイルランドなどは給与水準が低いと言えよう。日本の場合は、図に左下に位置しており給与水準自体は高いが、回帰傾向線より下に位置しており、キャリア公務員が多いという職種内容から言えば給与水準はむしろ低い方だと考えられる。 この点は、2005年段階の状況を分析した図録5193aと同じ結論である。 公務員数対雇用者総数比のデータを取り上げた国は34カ国であり、具体的には、図の順に、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、アイスランド、フィンランド、エストニア、リトアニア、フランス、カナダ、ラトビア、イスラエル、ハンガリー、スロバキア、ベルギー、OECD、ポーランド、スロベニア、オーストリア、ギリシャ、チェコ、英国、スペイン、米国、アイルランド、ポルトガル、イタリア、トルコ、メキシコ、ルクセンブルク、オランダ、ドイツ、スイス、韓国、日本である。 (2023年12月6日収録)
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