ISSP調査による国民の目に映った汚職汚染度については図録5186参照。 なお、ここでの汚職の被害とは、一般国民の回答者が政府の役人から賄賂を要求、または払うことを期待されたということであり、同じく犯罪であるが、役人と政治家といった特定の関係者相互の贈収賄は数字としてはあらわれていない。 OECD諸国の中でも汚職被害の割合は、高い国と低い国とが明確に分かれており、汚職率の高いのはギリシャ、メキシコ、ハンガリー、ポーランドといった最近OECDに加盟した途上国・東欧諸国である(途上国都市における汚職率は図録9375に見る通り、図中の各国よりさらに高い)。OECD平均が1.9%とある程度高い値となっているのは、汚職率の高い国の値が影響してるといえる。 ギリシャでは13.5%、メキシコでは13.3%と1割を越えている。これに次いで、ハンガリー、ポーランドが4%台で続いている。 ギリシャにおける汚職・賄賂については、ギリシャが2011年の欧州危機の発火点となったことでにわかに注目されることとなった。例えば、東京新聞のアテネ・ルポ(2011年10月14日)はこう指摘している。「”袖の下”も横行する。政治腐敗防止に取り組む国際的な非政府組織(NGO)「トランスペアレンシー・インターナショナル」によると、ギリシャは、税の申告、医師の診療、建築の許認可などに絡む賄賂が公然と存在し、相場は50ユーロ(約5,300円)〜1万5千ユーロ。富裕層の巨額の脱税も珍しくない。地元の報道では、課税を逃れる所得の総額は年950億ユーロ(約10兆円)に上るという。」なお、ギリシャにおける脱税の横行については図録4570参照。 西欧先進国は概して汚職率が低く、最も高いフランスでも1.1%に止まっている。 日本は0.2%と西欧先進国と比較しても低い割合となっている点が注目される。 比較対象は、英国、オーストラリアを除くOECD24カ国であり、被害率の低い順に、フィンランド、スウェーデン、日本、オランダ、アイスランド、アイルランド、スペイン、イタリア、ルクセンブルク、ノルウェー、ベルギー、ニュージーランド、スイス、米国、オーストリア、カナダ、ドイツ、デンマーク、ポルトガル、フランス、ポーランド、ハンガリー、メキシコ、ギリシャである。 (2009年9月16日収録、2011年10月14日ギリシャのコメント追加)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|