米ニューヨーク・ウォール街で反格差デモ「ウォール街を占拠せよ」が2011年9月17日に始まり、マンハッタン南端の摩天楼の谷間にあるズコッティ公園は、デモ参加者の「野営地」になっていたが、11月15日、ついに警察が動き、強制撤去に踏み切った。米国社会の格差是正を求めるこの抗議運動において若者が中心の「我々は99%」と訴える参加者をデモ行動へと駆り立てるのが、「1%の富裕層が所得全体の4分の1を稼ぎ、資産の4割を保有している」というデータだ。これを説いたのが、ノーベル賞受賞のスティグリッツ・コロンビア大学教授で、10月2日にはズコッティ公園で行われた勉強会でスピーチするなど積極的にデモを支持しているという。

 図録4655では上位1%の所得シェア長期推移を主要国で比較したが、ここでは、上位1%の所得シェアをOECD諸国で比較したOECD報告書のデータを掲げる。

 税引き前所得ベースなので、社会制度による所得再配分が施される前の経済活動そのものによる格差をあらわしているといえる。

 このデータでは、上位1%高額所得者の所得シェアは、米国がトップであるが、値は18.3%となっており、上記の4分の1よりは少ない。これは、キャピタルゲイン(財産価値の上昇)が含まれていないからであり、これを加えると23.5%とほぼ4分の1となる。

 高額所得者の所得シェアは米国に次いで、英国、カナダが大きくなっており、アングロサクソン系の経済の特徴となっている。

 日本は図の19か国の中で、9位と中位の水準である。同じ税引き前所得ベースであるが、低所得者から高所得者まで総ての階層を含んだ所得格差(ジニ係数)では、日本の所得格差はこうした国々の中で最低だというデータもある(図録4666)。

 高額所得者の所得シェアが最も小さいのはオランダであり、北欧のスウェーデン、ノルウェー、デンマークもこれに次いでいる。

 最近十数年の変化を見ると、すべての国で高額所得者の所得シェアが拡大しており、こうした側面の格差拡大が世界的傾向となっていることが分かる。

 特に、米国、英国、カナダ、オーストラリアなどのアングロサクソン系諸国やアイルランド、フィンランドなどで高額所得者の所得シェアが拡大しているのが目立っている。

 フィンランドだけでなく北欧諸国は一般にかつての格差の小さな状況から離脱しつつあることがうかがわれる。

 図で掲げた19か国を値の高い順に挙げると、米国、英国、カナダ、ドイツ、スイス、アイルランド、ポルトガル、イタリア、日本、ニュージーランド、オーストラリア、フランス、スペイン、フィンランド、ベルギー、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、オランダである。

(2013年10月1日収録)


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