近年の成長率の推移を見ると、日本や欧米ではリーマンショックで2009年に、新型コロナの感染拡大で2020年に成長率がマイナスとなった点が目立っている。EUでは欧州債務危機で2012年にもマイナスを記録している。 新型コロナの経済的影響を2020年のマイナス幅の大きさで見ると韓国はもっとも軽い-0.7%、EUはもっとも重い-7.9%、日本と米国はその中間のそれぞれ-4.8%、-2.8%となっている。なお、中国は2.2%と例年より低いかマイナスにまで至っていない。 なお、米国とEUは2021年以降は急回復しているが、日本はなお成長率が低い点が目立っている。コロナ禍の病理的影響は比較的軽かったにも関わらず精神的影響の大きさを反映してか経済的影響は甚大だったといえよう。 年代ごとの経済成長率の図を見ると、日本の経済成長率は、高度成長期はもちろんのこと、オイルショック(1973年)後の安定成長期にも欧米を上回っていたが、1990年代、特に後半には欧米を大きく下回り、日本経済の不調を世界に印象づけていた。21世紀に入って、西欧並みには近づく時期もあったが、基調としては欧米の成長率をかなり下回る状況が続いている。 欧米は2000年代後半にリーマンショック後の金融危機で大きく成長率を低下させた。米国は2010年代前半には回復したが、欧州は欧州債務危機の影響で引き続き低成長率が続いた。 アジアの韓国、中国は、日本に遅れて高度成長期に入った。やはり5年程度の成長率平均で10%程度が「経済高度成長」と呼ぶにふさわしい。 韓国は、1960年代後半から1980年代後半まで高い成長を続け、1990年代に入って成長率は鈍化したが、それでも欧米より高い成長率を維持している。もっとも最近は米国の水準を若干上回る程度にまで水準が低下している。 中国の経済高度成長は1980年代から本格化した。その後、多少の変動はあるものの日米欧、あるいは韓国よりも高い成長率を維持しており、大国だけに、驚異を感じざるを得ない。ついに中国は2010年に日本に代わってGDP世界第2位となった(図録j006)。 2020年代に入ると中国も平均5%未満と成長率が鈍化しており、韓国とともに、日本に続いて出生率の低下や高齢化の荒波に打たれることは確実なので、将来的には成長率が今以上に低下してくると予想される。 経済成長の長期トレンドについては、生産年齢人口の伸びの影響が大きいとされる点については図録1158参照。 (2004年9月22日更新、2006年10月23日更新、2009年10月3日更新、2011年1月29日更新、近年の経済成長率の図を追加、1月31日韓国速報値追加、2月1日EU速報・推計値追加、2月14日更新、5月20日更新、2012年11月26日更新、2013年1月18日更新、2月14日更新、3月8日日本更新、2015年1月30日更新、2月1日韓国更新、2017年4月18日更新、2023年4月28日更新)
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