題材としては、同じような意識調査が世界各国国民と日本の都道府県民に対して行われた「死後の世界を信じるかどうか」である(世界各地の結果については神の存在に対する見方とともに図録9520にも掲げた)。 結果はだいたい想定の範囲内かも知れない。世界55カ国の人々の「死後の世界」について「存在しない」と答えた人は、エジプトの0%からベトナムの77.6%まで幅広いが、日本の47都道府県については、「死後の世界などあるはずがない」と答えた人は、沖縄の22.3%から宮崎の44.8%まで22.5%ポイントの差に止まっている。沖縄は、信じない人が次ぎに少ない鹿児島の29.8%とかなりの差があり特異な地域となっている。沖縄を除くと日本各地の地域差はさらに15%ポイントに縮まる。 思った通りの結果だともいえるし、案外、国内の地域差も大きいと見ることも可能だ。他愛ない図だともいえるが、深遠なことを表現していると考える向きもあるかも知れない。見ておきたかった図であることには異論はなかろう。日本にいるイラン人やベトナム人との会話は、これを見ながらなら、少しは話がはずむかも知れない。 なお、日本の全国平均の35.7%は、世界価値観調査の日本の値である30.5%と5%程度の違いがある。調査年の違いや質問や回答の仕方の差異によるものと考えられるが、両データの信憑性を疑うほどの違いではないといえる。 (県内地域の最大値・最小値) NHKの県民意識調査では県内を2〜5地域(県によって異なる)に分けた集計も行っている。県内にも都市化した地域と農村的地域などの性格の違いがあるので、念のため、県内の最大値と最小値をグラフに加えた。 県内地域の回答数は県レベルよりさらに少なくなるので確定的なことはいえないが、それでも、県内の各地域で、国別の差ほどではないが、ある程度の差があることが分かる。 死後の世界を信じないわけでない地域として目立っていたのは以下のような県内地域である。 ・那覇市(沖縄) ・鹿児島市(鹿児島) ・北部(埼玉) ・東部・南部(注)(千葉) ・会津(福島) (注)千葉市およびそれより東京に近い西部地域を除く地域 これらは日本の中でも土俗的な精神を残している地域といってもよいかもしれない。我が国の中で最も死後の世界を信じている沖縄、鹿児島の中では、周辺部ではなく、県内中心地の那覇市や鹿児島市で最も死後の世界を信じているという結果も何か意味ありげである。鳥取県の中では、東部、中部のそれぞれ34.6%、38.4%に対して、水木しげるの生まれた西部(境港を含む)では28.0%と低いのも、何となく、納得的である。
(2009年1月26日収録、2017年3月14日県内地域データ最大最小値追加)
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