この図録では、サッカー・ワールドカップ(W杯)で、日本代表が予選を突破し、本大会に出場するようになった1998年のフランス大会以降の日本代表の成績をグラフにした。

(2022年カタール大会)

 サッカー・ワールドカップ・カタール大会(FIFAワールドカップ、W杯)が、2022年11月〜12月にドーハ及び半径40キロ以内の近郊都市の8会場で開催されている。

 1次リーグ初戦、FIFAランキング24位の日本が同11位のドイツに劇的な逆転勝ちで白星発進を決めた。後半30分に途中出場のMF堂安が同点ゴール、同38分に同じ途中出場のFW浅野が逆転ゴール。優勝4度の強豪相手に「ドーハの歓喜」、あるいは「ドーハの奇跡」(注)とも言うべき歴史的な勝利をもぎ取った(日本代表の得点場面の図解はページ末尾参照)。

(注)1993年10月に行われた1994年米国大会のアジア地区予選の最終対イラク戦で試合終了間際まで2-1でリードしていながら、ロスタイムに同点ゴールを入れられ、オフト監督率いる日本代表が一転して予選敗退する結末となったことを「ドーハの悲劇」と呼ぶ。出場選手には三浦知良・中山雅史の他、中盤のボランチには現監督の森保一もいた。

 17日に行われたカナダとの強化試合で1-2で負けた森保監督の「愚将」という評価が、対ドイツ戦を勝利に導いた後半の4バックから3バックへのフォーメーション変更と交代枠ギリギリの5人選手交代という采配により一気に「名将」評価へと転換した。

 これは、2010年南アフリカ大会の岡田武史監督と似ている。大会直前の韓国との壮行試合で0-2で完敗し更迭論まで出たのに、初戦のカメルーン戦で1-0で勝利した時には「岡ちゃんごめんね」とネットに一斉に書き込まれたのである。

 しかし第2戦コスタリカに対しては0-1で負け1次リーグ突破も怪しくなってきた。

 誰もが敗戦濃厚という予想の中、日本代表は第3節でスペインと日本時間の早朝4:00から対戦、2-1で大金星の勝利。

 スペインによってボールが圧倒的に支配される前半にアルバロ・モラタのゴールで先制を許すも追加点を許さず、後半3分、ボールを保持したGKウナイ・シモンに対してFW前田大然がハイプレスを掛けると、相手の中途半端なクリアをMF伊東純也が競り合ってルーズボールとなったところを堂安が拾い、左足を一閃。ゴール右に突き刺して同点弾を奪った。

 そして直後の後半6分、右サイドから堂安がグラウンダーのボールを放り込むと、ファーサイドに走り込んだ三笘がゴールラインを割ったかどうかのギリギリのところで折り返し、詰めていたMF田中碧が押し込んで逆転弾を記録した。反転攻勢を期して後半から出場した堂安、三笘両選手がスペイン有利の局面を見事くつがえし、逆転後、日本代表はスペインの猛攻をよく持ちこたえ勝利に導いたのだった。

 三笘の折り返しアシストについては、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の確認でインと判定、その結果日本の得点が認められた(下)。視認では大方がアウトとみなしたこの折り返しが認められなかったら日本は同点で引き分け、得失点差でドイツを下回り、1次リーグ敗退となっていた可能性が高く、そのためもあって「三笘の1mm」として話題となった。


 しかし、最後、日本時間12月6日0時からはじまった決勝トーナメント1回戦で、43分に前田大然のゴールで日本が先制したものの、55分にイバン・ペリシッチに同点弾を許し、1-1のまま90分が終了。そして、延長戦でも決着がつかず、3選手がゴールキーパーにセーブされたPK戦(1-3)の末に日本は敗れた(下図)。悲願のベスト8進出を果たせなかった(この時の深夜のテレビ視聴の刻々の動きについては図録3964a参照)。


 2022年はやはりワールドカップ日本代表の以上のような活躍がもっとも国民の関心を集めたことが、以下のようなテレビ視聴率のランキングからもうかがえる。


(2018年ロシア大会)

 サッカー・ワールドカップ・ロシア大会(FIFAワールドカップ、W杯)が、2018年6月〜7月にロシアの各都市で開催されている。

 1次リーグでは、予想に反して初戦のコロンビア戦は2-1で勝利となった。初戦勝利は南アフリカ大会に次いで2回目であり、アジア勢の対南米勝利は史上初めてとなった。2戦目のセネガル戦も予想に反し優勢で試合を進めたが同点で終わった。3戦目はポーランドに敗退したが、勝ち点、総得点、得失点差で並んだセネガルとのイエローカード数の差で決勝トーナメント進出を決めた。

 決勝トーナメントでは、強豪ベルギーに対して、2点を先取したものの、3点取り返されて惜しくも敗退し、ベスト8進出と言う過去の成績を上回る結果は残せなかった。それでも決勝トーナメントでの得点は史上はじめてであり、今後につながる負けではあった。

 ページ末尾に日本がトーナメント戦の時間終了間際で失った3点目であるベルギーの9.35秒の電撃カウンター攻撃図(スペイン紙「マルカ」作成)を掲げた(ヤフーニュースより)。

(2014年ブラジル大会)

 サッカー・ワールドカップ・ブラジル大会が、2014年6月〜7月にブラジルの各都市で開催された。ザッケローニ監督ひきいる日本代表は、残念ながら2敗1分けで1次リーグ敗退となった。世界の壁は厚かったというのが本当のところであろう。

(参照図録)

 これまでのすべての大会におけるベスト4以上の各国戦績ランキングは図録3979、各大会の日本代表の年齢・出身・活躍場所の変遷については図録3979h参照。

サッカー・ワールドカップ(W杯)日本代表成績
年次 大会名 監督 結果 段階 対戦相手 得点 ○勝
△分
●敗
日本のゴールゲッター
相手 日本
1998
フランス
大会
岡田武史 1次リーグ
敗退
1次
リーグ
アルゼンチン 1 0  
クロアチア 1 0  
ジャマイカ 2 1 中山雅史
2002
日韓
大会
トルシエ ベスト16 1次
リーグ
ベルギー 2 2 鈴木隆行、稲本潤一
ロシア 0 1 稲本潤一
チュニジア 0 2 森島寛晃、中田英寿
決勝T トルコ 1 0  
2006
ドイツ
大会
ジーコ 1次リーグ
敗退
1次
リーグ
オーストラリア 3 1 中村俊輔
クロアチア 0 0  
ブラジル 4 1 玉田圭司
2010
南アフリカ
大会
岡田武史 ベスト16 1次
リーグ
カメルーン 0 1 本田圭佑
オランダ 1 0  
デンマーク 1 3 本田圭佑、遠藤保仁、岡崎慎司
決勝T パラグアイ 0 0 (PK3−5で敗退)
2014
ブラジル
大会
ザッケローニ 1次リーグ
敗退
1次
リーグ
コートジボアール 2 1 本田圭佑
ギリシャ 0 0  
コロンビア 4 1 岡崎慎司
2018
ロシア
大会
西野 朗 ベスト16 1次
リーグ
コロンビア 1 2 香川真司、大迫勇也
セネガル 2 2 乾貴士、本田圭佑
ポーランド 1 0
決勝T ベルギー 3 2 原口元気、乾貴士
2022
カタール
大会
森保 一 ベスト16 1次
リーグ
ドイツ 1 2 堂安律、浅野拓磨
コスタリカ 1 0
スペイン 1 2 堂安律、田中碧
決勝T クロアチア 1 1 (PK1−3で敗退)
(資料)毎日新聞(2014.6.26)ほか






(2014年6月26日収録、2018年6月19日・25日・29日・7月3日更新、7月19日9.35秒カウンター図、2022年11月24日〜12月2日更新、11月25日得点場面図解、12月6日敗退、2023年1月5日22年視聴率ランキング)


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