ワールドカップ・カタール大会の開幕時の日本代表26人(前回より3人増加)の平均年齢は27.8歳であり、前回ロシア大会より下がり、2010年南アフリカ大会と同じだった。 経験豊富なベテランが多い方がよいのか、期待以上の活躍の可能性がある若者が多い方がよいのかは、それこそ、時と場合によるだろう。 2006年ドイツ大会は1次リーグで敗退したが、次の2010年南アフリカ大会は開幕間際から川口らベテランを中心にチームがまとまり、前評判を覆して決勝トーナメントにまで進んだ。 今回カタール大会ではW杯経験者の人数は7人と過去最少となり、選手層の厚さが目立つ構成となった。これが、途中交代の有力選手投入により、1次リーグでドイツ、スペインを破る画期的な戦績につながった。 また代表入り3回目の吉田選手がキャプテンを務め、4回目の川島選手が控えからアドバイスを送り、同じく4回目の長友選手の「ブラボー」連呼が話題になるなど精神的な面でのサポートが機能した面もあろう。 Jリーグが1993年に始まってから四半世紀が過ぎ、日本代表選手のプロになる直前の出身母体は大きく変化してきた。1998年フランス大会ではユース(プロクラブの下部組織)出身者は1人だけであり、大学出身が11人で、高校出身の10人より多かったのが時代を感じさせる。 今回は26人中13人が高校年代でJリーグのクラブの下部組織に所属していた選手。Jクラブのユース出身者が半数以上となるのは初である。また、大学出身者が再度多くなったのも今回の特徴である。 なお、出身地域については神奈川県出身が7人で最多。2位は大阪府の3選手となっている。スペイン戦の2点目獲得についてアシスト、ゴールゲッターとなった三笘薫、田中碧両選手の母校は川ア市立鷺沼小学校、また2人とも川崎フロンターレユースに所属していたため「鷺沼兄弟」と称され、その活躍が全国に鳴り響いた。そのほか、権田、板倉両選手を含めた4人が同じ地元小学生向けチーム「さぎぬまSC」でプレーしていたことが大きく報じられた。 かつて有力選手にはサッカーのさかんな静岡県出身が多かったが、現在は1人とずっと少なくなっている(下表参照)。Jリーグの定着に伴い、全国的に、指導者や選手の育成が進められるようになり、サッカーがさかんな地域の平準化が進んだ結果といえよう。 国内組と海外組の割合については、常識的に考えると、海外の強豪選手と常日頃試合をしている海外組(所属チームが海外)がいた方がワールドカップの場合は有利である。2022年のカタール大会でアジアやアフリカの代表が勝つ番狂わせが多くなったのも世界的に欧州有力リーグで活躍する選手が多くなったためと考えらている(図録3979参照)。 ワールドカップ初出場の1998年フランス大会では日本代表は全員が「国内組」だったが、2002年日韓大会ではイタリアのパルマでプレーする中田英、イングランドのアーセナルの稲本ら4人の「海外組」が日の丸を背負って大活躍した。2014年ブラジル大会では海外組が過半数に至り、2018年ロシア大会、2022年カタール大会はそれぞれ過去最多の15人、20人となっており、海外組で埋められないポジションを国内組で賄う状況になった。なお、カタール大会の海外組20人のうち最多はドイツリーグの8人。続いてフランスとイングランドリーグの3人。 もっとも海外組といってもケガや移籍などで十分に海外トップチームと戦うことが出来ていない場合もあり、ピークを過ぎている選手がいたり、海外組が多いからといって期待はずれとなる可能性もある。
(2018年6月12日収録、2022年12月12日更新)
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