日本の一般雑誌の中で最も発行部数の多いのは、「週刊文春」であり約61万部である。これはコミック誌を除く総ての雑誌のなかで最多の数字である。コミック誌のランキングは図録3969参照。「週刊文春」の雑誌トップの座は長く続いている。少し前の記事だが「文芸春秋は25日、週刊誌「週刊文春」の2013年下期実売部数(日本ABC協会調べ)が46万8910部となり、総合週刊誌で10年(20期)連続1位を達成したと発表した。「週刊文春」は1959年創刊」(毎日新聞2014年4月26日) これに、週刊誌の「週刊新潮」が続き、その次に、月刊誌の「文芸春秋」が来ている。 女性誌では「女性自身」が34万部で最も多く、「女性セブン」がこれに次いでいる。 インターネットやフリーペーパーの普及で雑誌経営は厳しくなっている。減少傾向にある雑誌広告費は2006年にインターネット広告費を下回り、2009年にはフリーペーパー広告費とほぼ同額レベルに達した(図録5650参照)。 6年前の2012年版のデータを参考にプロットしたが、いくつかの例外を除いて、多くの雑誌で部数が減少しているのが分かる。過去のグラフは2007年版、2009年版、2012年版。例えば、雑誌トップの「週刊文春」の部数は、これらの年版、及び2018年版で、それぞれ、77.7万部→74.9万部→70.2万部→61.3万部と推移している。 東京新聞のコラム「週刊誌を読む」(月刊「創」編集長篠田博之執筆)の2019年12月29日の連載分では、2019年を週刊誌が岐路に立たされた年と位置づけ、止まらない紙の部数の落ち込みをどう打開するかで2つの方向性が模索されたと総括している。 第1には、「週刊文春」や「女性自身」のウェブサイトへの軸足シフトである。文春オンラインの閲覧数は11月に3億PVを突破。うち約1億は沢尻エリカ逮捕関連だったが、逮捕前夜の隠し撮り写真も翌週の本誌刊行を待たず逮捕当日にウェブにアップした。2人の大臣を辞任に追い込んだ誌面でのスクープも部数増には跳ね返らず、むしろウェブPV急伸にむすびついているという。女性自身も紙の部数減とは対照的に芸能と皇室に強いという特性を生かしたウェブサイトが5月には1億PVを突破し、光文社内でも収益部門となりつつあるという。 第2は紙での部数増を狙う「週刊現代」や「アンアン」などの取り組みである。「週刊現代」は高齢の読者にあわせた相続や健康などの実用情報に特化した誌面で勝負。速報性というより発売期間延長をねらって合併号を増やし、平均月3回の発行ペースに変え、利益改善につなげたという。「アンアン」、「週刊朝日」はアイドル特集で紙の雑誌を手元に置いておきたいという読者ニーズに応えた。「アンアン」はジャニーズ系のアイドル特集で完売・増刷を4回も行い、いずれも通常より若い20代のファンが買ったという。スポーツ誌のラグビーW杯特集などにもこうした傾向はあらわれているだろう。 参考までに篠田氏作成の主要総合週刊誌の部数推移図を掲げた。1990年代半ばには、週刊文春や週刊新潮より週刊ポストや週刊現代の方が部数が多かったことが分かる。 以下に参考のため女性誌の変遷と関連事項の年表を掲げる。2008年には長い歴史を持つ女性誌の代表格であった「主婦の友」が休刊となったが、女性誌の変遷は社会における女性の位置の大きな変化を反映しているといえよう(関連して流行・ファッション年表は図録3550)。
取り上げた雑誌を掲げると、文藝春秋、潮、Newton、WEDGE(ウェッジ)、中央公論、Voice、週刊文春、週刊新潮、週刊現代、週刊ポスト、FRIDAY、週刊大衆、PRESIDENT、週刊実話、FLASH、日経ビジネス、週刊プレイボーイ、週刊朝日、週刊アサヒ芸能、週刊ダイヤモンド、AERA、サンデー毎日、SPA!、週刊東洋経済、週刊エコノミスト、ニューズウィーク日本版、non・no、MORE、女性自身、女性セブン、オレンジページ、週刊女性、クロワッサン、anan、婦人公論、暮しの手帖、Hanakoである。 (2007年11月6日収録、2008年5月8日更新、2010年4月8日更新、2013年12月2日更新、12月3日日経ビジネス追加、2014年4月26日週刊文春コメント追加、2019年12月28日2019年の総括、12月29日・30日更新、2020年1月6日総合週刊誌部数推移図)
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