若者のネット傾斜やテレビ離れが話題になることが多い。また、物心ついた時にはネットやSNSが当たり前となっていた世代である「Z世代」の動きが最近は関心を引くようになった。そこで、そうした世代の誕生を示す基本データを掲げよう。


 総務省の情報通信政策研究所が毎年行っているメディア利用に関する調査の結果については、図録3960で、国民全体のメディア利用の変化を追った。ここでは、同資料から、年齢別の動きを追った。

 年齢計の動きで見るとコロナ禍の影響で家庭でのメディア利用時間が伸びた2020年にはついにインターネットの利用時間がテレビの視聴時間(リアルタイム視聴)を上回った。そして21年にはこの逆転がさらに明確になった。

 平日におけるテレビ視聴時間とインターネット利用時間の推移を見ると、インターネットの利用時間は、スマホ利用の普及・拡大に伴い、いずれの年齢層でも増加傾向にあるが、若い層では一日4時間を越えており、3時間程度の30代〜40代、2時間前後の50代〜60代と比べて、特に顕著である。

 テレビの視聴時間については、かねてより、高齢者ほど長いという特徴があったが、近年の動きとしては、高齢層では視聴時間がほぼ横ばいに近い動向を示しているのに対して、若い層では、むしろ、短くなる傾向が目立ってきている。2020〜21年には、特に、この動きが加速した。

 こうした動きの結果、2010年代を通して、10代、20代でいち早く、テレビの視聴時間とインターネット利用時間が逆転し、さらに最近、30代〜40代でも両者が逆転している。その結果、若い世代ではネット利用時間がテレビ視聴時間の3倍となっている。

 一方、50代以上の年齢層では、なお、テレビがインターネットを上回っている。

 2020〜21年には年齢計には含まれない試行的調査結果として70代の値が得られるが、60代以上にテレビがネットを大きく上回っている。また、2020年にはコロナ禍の影響で在宅が増え、ほかにすることがないためか、テレビ視聴時間がかなり増えたことがうかがえる。

 なお、図録3961dでは「情報源として欠かせないメディアは?」をきいた意識調査結果を掲げたが、そこでも、若者のネット傾斜、あるいは、新聞、テレビの高齢者向けメディア化が目立っていた。

 特に若い層でインターネットの利用時間が増えている。そこで、下には、10代と20代の男女別に利用項目別のインターネット利用時間を掲げた。

 10代でも20代でも男女の大きな差は「ソーシャルメディアを見る・書く」が男より女の方が2倍前後多く、女では最大の利用項目になっているという点、及び「オンラインゲーム・ソーシャルゲームをする」は男の方が女よりずっと多くなっている点である。

 10代、20代では2019年から20年にかけてインターネット利用時間が大きく増加しているが、どんな利用項目で大きく増加しているかというと以下の通りである。
  • 10代及び20代(特に10代)の女の「ソーシャルメディア」と「動画投稿・共有サービス」
  • 20代の男の「メール」と「動画投稿・共有サービス」
 社会生活基本調査による若い世代のネット使用実態では(図録6364)、若い女性は男性と異なり、「趣味・娯楽」利用より「友人・知人とのコミュニケーション」利用が勝っている点が見て取れるが、ここでもそういう状況があらわれている。2020年にはコロナ禍によって自宅で過ごす時間が増え、余計にそうした特徴が強まっているといえよう。


(2021年4月17日収録、4月18日スマホ・PCの時間帯別利用率再掲、2021年8月26日更新、若年層の利用項目別のインターネット利用時間、2022年8月30日更新、9月2日70代結果追加、2023年7月3日更新、2024年10月16日更新)


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