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ここでは、この調査の結果から、各メディアの印象を尋ねた設問の中で「情報源として欠かせない」とした回答者割合の時系列推移と年代別結果をグラフにした。 「毎日必要な情報を何から得ているか」についてもう少し以前の2001年度からの変化を図録3961に掲げているので参照されたい。 調査がはじまった2008年からの推移を見ると、当初「新聞」が59.3%でトップであったが、徐々に値が低下し、2023年には35.1%で第4位にまで下落している。 一方、「インターネット」は当初の29.1%から徐々に値が上昇し、2023年には54.5%で三年連続でトップに達している。 このように、新聞の低落とインターネットの躍進がもっとも目立った近年の変化である。 その他のメディアの推移については、2010年代前半には「NHKテレビ」が新聞に次ぐ位置を占めていたが、新聞ほどではないが徐々に値を低下させ、2018年以降は、インターネットや民放テレビを下回る第3位の位置となっている。NHKテレビについては2011年に値が急増したが、これはこの年に東日本大震災と福島第二原発事故が起こり、NHKテレビの報道に国民が釘付けになった影響であろう。 「民放テレビ」は新聞に次ぐ当初の高い値が急速に低下していたが、2018年に10%ポイント以上急回復し、その後も50%前後の比較的高い値を維持している点が目立っている。2018年の急回復はこの調査の設問項目から新聞に関する部分が大きく削減された影響とみる向きもある。ただ、新聞の印象は余り大きな変化がないのでそうとも言い切れない。 「ラジオ」と「雑誌」については、欠かせない情報源としての印象はだんだんと薄れていっている。 全体としては、インターネットの躍進で、民放テレビを除くその他のメディアの情報源としての有用性意識が全般的に低下してきているとまとめられよう。 表示選択で見ることができる年代別の結果(ラジオと雑誌は除く)については、2010年と2022年について比べて見ると、すべての年齢層でインターネットを情報源として欠かせないと思う人が増えている点がまず目立っている。 そして、その影響で、他のメディアをあげる者の割合が全般的に低下している。ただし、民放テレビだけは、例外的に50代以上では同割合がむしろ上昇している。 インターネットの躍進により、インターネットを最も情報源として欠かせないメディアとしている年代は、2010年には30代以下の各年齢層だったのが、2020年には50代以下の各年齢層にまで広がっている。 年代別の変化としてもうひとつ目立っているのは、非高齢者層では、インターネットが大きく躍進し、同時にインターネット以外の各メディアの割合が大きく低下した一方で、高齢者層ではインターネット以外の各メディアの割合の低下がそれほど大きくなかった、また民放テレビではむしろ上昇している点である。 その結果、インターネット以外の各メディアがすべて「高齢者向けのメディア」であるかのような様相を濃くしている。特に、新聞とNHKテレビでこの点が著しくなっている。新聞は若年層における購読が少なくなる状況に結びついているが、NHKテレビの場合は、NHK受信料の徴収への反発が若年層を中心に大きく高まる原因となっているといえよう。 最後に、参考までに「情報源として欠かせない」以外を含めた各メディアの印象についての設問の結果を各メディアのランキングを2010年と2022年で比較するかたちで以下に示した。 両年で全くランキングに変化がないのは「情報が信頼できる」についての「NHKテレビ>新聞>民放テレビ>インターネット>雑誌>ラジオ」という順番だけである。 インターネットは、「情報が信頼できる」と「情報が面白い・楽しい」以外のすべての印象項目で順位を上昇させている。特に「情報源として欠かせない」と「情報の量が多い」、「情報が役に立つ」では、それぞれ、3位、2位、3位ランクアップしトップに躍り出ている。そのほか「手軽に見聞きできる」でも2位ランクアップでトップとなっている。 このようにインターネットは信頼性は低いままであるが、影響力は絶大になっている様子がうかがわれる。一方で、新聞は信頼性は不変であるがその他の印象は大きく凋落し全く昔日の比ではない。 (2021年2月23日収録、2022年9月3日更新、12月13日更新、2024年6月30日更新)
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