OECDでは世界の15歳児童を対象に学力(学習到達度)に関して実際にテストを行う調査を3年ごとに行っている。この結果は、自国の学力レベルに関心を持つ各国国民の関心の的になっているので紹介することとする。

 分析対象国は、フィンランド、韓国、カナダ、オーストラリア、リヒテンシュタイン、ニュージーランド、アイルランド、スウェーデン、オランダ、香港、ベルギー、ノルウェー、スイス、日本、マカオ、ポーランド、フランス、米国、デンマーク、アイスランド、ドイツ、オーストリア、ラトビア、チェコ、ハンガリー、スペイン、ルクセンブルグ、ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スロバキア、ロシア、トルコ、ウルグアイ、タイ、セルビア・モンテネグロ、ブラジル、メキシコ、インドネシア、チュニジアの40カ国である。

 日本の状況を分野ごと前回2000年と今回2003年について示すと、

  2000年 2003年 備考
読解力 8位 14位 韓国が2位に躍進
数学的リテラシー 1位 6位 香港1位
科学的リテラシー 2位 2位 フィンランド1位
問題解決能力 .. 4位 韓国が1位

 読解力や数学的リテラシーで順位が大きく低下している。12月9日に報道されたこの結果の後、15日には、国際教育到達度評価学会(IEA)による国際数学・理科教育調査(TIMSS、中2・小4対象)で、やはり、学力低下という結果が報道された。子どもの親たちや大学の先生達は常日頃感じていたことがデータにもあらわれたと理解したであろう。

 文科大臣も「ゆとり教育で生きる力を育てようとした。(学習内容削減や週5日制は)子どもや学校に余裕を持ってもらい、基礎・基本を教えることで自主的に考え、行動できる子を育てようということだったが、必ずしもそうなっていないというのが二つの調査結果だ。全体的な見直しをしなきゃいかんと(部内に)指示を出した」と明かしたという(毎日新聞12月15日)。

 自主学習時間の少なさ・テレビ視聴時間の長さ(図録3943)、教育費の増大が少子化を生んでいる点も含めて(図録1570)、抜本的な教育改革・社会改革の必要性が生じていると誰でもが感じているであろう。

(2004年12月19日収録)


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