後者の成人スキル調査については、これまで、以下の図録で結果を紹介した。
図には、読解力と数的思考力に分けて、年齢計、若年層(16〜24歳)、中高年層(55〜65歳)の結果を折れ線グラフであらわし、若年層と中高年層の差を棒グラフで示した。また、年齢層ごとのランキング(23カ国における)を付記した。 まず、気がつくのは、いずれの国でも若年層のほうが中高年層より成績がよいことである。理由としては、次の3つが考えられる。
年齢差が大きい韓国やスペインでは高学歴化の進展が著しかったためであるし、逆に、年齢差が小さい米国では高学歴化があまり進んでいない(以前から高学歴)ためであろう(高学歴化の進展度合いは図録3929参照)。 日本の特徴は年齢層ごとの差が小さい点にある。順位で見ると、読解力では、若年層も中高年層もともに世界1となっているし、数的思考力では、中高年層は世界1、若年層も3位と低くない。図録3929で見たように日本は高学歴化がかなり大きな影響を及ぼしている筈であるが、その割に世代格差が小さいのは、やはりBの要因が大きく働いているためと見るしかなかろう。つまり年をとっても知力を衰えさせないための勉強(教育訓練)を続けているのであろう。これは、PISA調査の結果との比較を紹介した図録3937の結論と同じである。 Bの要因が働いている理由であるが、企業や職場での教育訓練(OJT、OffJT)がさかんであるためなのか、それとも、もともと日常生活で求道精神を追求する国民性の影響なのかはわからない。 対象24カ国を年齢計の読解力の高い順に掲げると、日本、フィンランド、オランダ、オーストラリア、スウェーデン、ノルウェー、エストニア、ベルギー、ロシア、チェコ、スロバキア、カナダ、韓国、英国、デンマーク、ドイツ、米国、オーストリア、キプロス、ポーランド、アイルランド、フランス、スペイン、イタリアである。 (2019年4月6日収録)
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