OECDは、子どもの国際学力テスト(PISA調査)、及び大人の国際学力テストともいえる成人スキル調査(文科省の命名では国際成人力調査、略称はPIAAC調査)を実施しており、ともに国際的な関心のまととなっている。

 後者の成人スキル調査については、これまで、以下の図録で結果を紹介した。
  • ・図録3936(最も基本的な平均得点で日本がトップである点、及び移民の影響はそれほどではない点を紹介)
  • ・図録3936a(日本の場合国民の間の知力格差が小さい点を紹介)
  • ・図録3937(子どもの学力テストであるPISA調査と比較して、日本の場合、大人の方が成績がよいのは卒後学習の影響と見られる点を紹介)
  • ・図録6245(日本の順位が低いとされたIT活用力であるが、ITを使わなくとも便利に暮らせる社会だからという側面が理由である点を紹介)
 ここでは、成人の年齢層別の結果(世代格差)を紹介することとする。くだけた言い方をすれば、若者の方が頭がよいのかそれとも年寄りの方が頭がよいのかという点が分かる点で興味深いデータである。

 図には、読解力と数的思考力に分けて、年齢計、若年層(16〜24歳)、中高年層(55〜65歳)の結果を折れ線グラフであらわし、若年層と中高年層の差を棒グラフで示した。また、年齢層ごとのランキング(23カ国における)を付記した。

 まず、気がつくのは、いずれの国でも若年層のほうが中高年層より成績がよいことである。理由としては、次の3つが考えられる。
  • @若い頃の学習の成果が加齢とともに失われていくため
  • A体力と同じように年をとると知力も減退するため
  • B年をとると勉強しなくなるため
  • C若年層の方が中高年層より学歴が高い(学校教育の年数が長くなった)ため
 国により年齢間の違いが生じるのは、各国でそう違いがある筈もない@、Aの理由というよりは、生涯学習の程度やこの40年間の高学歴化の進展の国ごとの違いによるものであろう。

 年齢差が大きい韓国やスペインでは高学歴化の進展が著しかったためであるし、逆に、年齢差が小さい米国では高学歴化があまり進んでいない(以前から高学歴)ためであろう(高学歴化の進展度合いは図録3929参照)。

 日本の特徴は年齢層ごとの差が小さい点にある。順位で見ると、読解力では、若年層も中高年層もともに世界1となっているし、数的思考力では、中高年層は世界1、若年層も3位と低くない。図録3929で見たように日本は高学歴化がかなり大きな影響を及ぼしている筈であるが、その割に世代格差が小さいのは、やはりBの要因が大きく働いているためと見るしかなかろう。つまり年をとっても知力を衰えさせないための勉強(教育訓練)を続けているのであろう。これは、PISA調査の結果との比較を紹介した図録3937の結論と同じである。

 Bの要因が働いている理由であるが、企業や職場での教育訓練(OJT、OffJT)がさかんであるためなのか、それとも、もともと日常生活で求道精神を追求する国民性の影響なのかはわからない。

 対象24カ国を年齢計の読解力の高い順に掲げると、日本、フィンランド、オランダ、オーストラリア、スウェーデン、ノルウェー、エストニア、ベルギー、ロシア、チェコ、スロバキア、カナダ、韓国、英国、デンマーク、ドイツ、米国、オーストリア、キプロス、ポーランド、アイルランド、フランス、スペイン、イタリアである。

(2019年4月6日収録)


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