日本は、小学校は27.2人と、OECD諸国の中で、チリに次いで平均学級規模が大きい。欧米諸国がおおむね10人台〜20人台前半であるのと比べると、クラス人数が多い点が目立っている。 中学校は日本は32.0人とコスタリカに次いで平均学級規模が大きい。 公立小中学校の学級基準は1958年の義務標準法の制定時は「50人」だったが、64〜68年度の5年間で「45人」、80〜91年度の12年間で「40人」に引き下げられた。しかし、その後は少人数化の議論が停滞し、2011年度に小1の35人学級が実現しただけにとどまっていた。 ここで見たように平均学級規模が先進国の中で最小規模なので改善がかねてより課題となっていた。 2020年に入ってコロナ対策のソーシャル・ディスタンスの風潮もあり、次年度予算編成にあたり、政府は小学校に限り、全学年を来年度から5年かけて段階的に35人まで引き下げる方針を固めた(毎日新聞2020.12.16)。 少人数クラスのほうが学力が向上するかどうかは必ずしも明らかではない。この点が財務省がなかなか予算増加を認めない根拠となっている。 「日本では以前から教員の間で少人数学級化を求める声が根強いが、学力への効果は諸説ある。(この図録のデータ源でもあるOECDの)報告書は「小規模学級は貧困などの背景を抱えた子どもたちにとって利点があるとするいくつかのエビデンス(証拠)があるが、学業への効果についてはまちまち」としている。文部科学省の研究機関「国立教育政策研究所」が13、14年度に実施した調査では、学級規模が学力に与える影響は、学年や学力によって効果が異なっていた。OECDが15歳を対象に3年に1度実施する国際学力調査「PISA」の18年の結果をみても、例えば、数学的リテラシー(応用力)で日本は加盟国の中で1位(平均得点527点)、1クラス19人のフィンランドは11位(同507点)、1クラス16人のラトビアは19位(同496点)だった」(毎日新聞2021.1.11)。 日本における学級規模の基準の変遷については、教師数(子ども数対比)の推移にふれた図録3850参照。 参考までに、小学校の私立、公立別の平均学級規模の国際比較図を下に掲げた。日本では公立と私立では平均学級規模にさほど差がないが、国際的には私立の方が英才教育であるのか人数が少ない場合が多いが、チリや韓国、フランス、スペインなど国によっては逆に多い場合もある。公立学校だけで比較しても、日本の公立小学校は27.2人と欧米諸国が10人台〜20人台前半であるのと比べると、クラス人数が多い。 対象国は、小学校の生徒数の多い順に、チリ、日本、イスラエル、英国、メキシコ、オーストラリア、フランス、韓国、コロンビア、ブラジル、トルコ、スペイン、ハンガリー、ポルトガル、チェコ、ドイツ、米国、ロシア、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、イタリア、エストニア、アイスランド、スロベニア、オーストリア、スロバキア、ポーランド、ギリシャ、リトアニア、ラトビア、コスタリカの32か国である。 (2005年9月17日収録、2021年1月6日中学校に加えて小学校も、1月11日学力について、10月24日更新、2023年4月20日私立・公立別小学校平均学級規模)
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