当初この図録を採録したころ、無縁死や100歳以上高齢者の所在不明が問題となっていた(2010年1月31日放送のNHKスペシャル「無縁社会〜“無縁死”3万2千人の衝撃」書籍版「無縁社会」文藝春秋2010年、及び2010年8月2日に都内最高齢とされる113歳の女性の所在が不明が明らかに)。

 これと関連して、困ったときに頼れる人がいるか否かの国際比較結果を掲げる(付き合いの程度の国際比較は図録9502参照)。

 ギャラップ社の国際調査により、ボランティア活動や社会的援助についてのOECD諸国、及び中国、インド、ロシアなど非OECD諸国を含む国際比較が行われている。社会的援助の程度については、「この1ヶ月間に困っている人を助けたか」という問について図録2996で掲げたが、ここでは、もうひとつの社会的援助の指標として「困ったとき頼れる者がいるか」という助ける方でなく助けられる方に着眼した問への回答結果を掲げた。

 これを見ると日本人は、他の東アジアの中国、韓国と同様、頼れる人がいると回答した者は相対的に少ない。頼れる者がいると答えた比率が高かった米英圏や北欧の諸国とは対照的な結果となっている。

 ただし、同じデータでも以下のように日本とOECD平均の時系列推移を追ってみると日本は平均を上回っている時期もあるので平均以下だと単純に断定することは難しい。


 また、OECD以外の国やギリシャ、メキシコ、ポーランド、トルコなどOECDの中でも途上国的な色彩の強い国は比較的この比率が低いことにも気がつく。

 ひところ、アトム化した現代社会では人は孤立しているという考え方を抱く者が多かったが、少なくともこの国際調査の結果からは、伝統社会の気風を残した東アジアや途上国の方が孤立した人は多いということになる。

 高齢者の孤立について探るため、同じデータの年齢別の結果を図録2995に掲げたが、図だけを下に再掲した。ギリシャや韓国の全体結果が低いのは、特に高齢層での社会的孤立の程度が大きいからだということが分かる。日本の場合は年齢差が小さく、高齢層の孤立状況はOECD平均より少ない。


(2010年8月23日収録、2021年3月13日・14日更新)


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