婚姻率は、戦前、かなり波はあったものの、ほぼ8〜9‰で横ばいであった。終戦直後、戦時下に引き延ばされていた結婚のブームが起こり、その結果、いわゆる団塊の世代が生まれた。そして、この第1次結婚ブームから二十数年たって、第2次結婚ブーム(団塊の世代の結婚)が起こったが、その後、団塊ジュニア層に至ると、年齢も結婚時期も分散しているため、ブームといえるような婚姻率の高まりとはなっていない。 2011年は東日本大震災の影響で絆意識が高まり婚姻も増えたとの説もあるがデータ上は確認できない。 離婚率は,旧民法下の家制度が十分に定着していない明治中期まではかなり高かった。その後、1898年の民法典施行ののち、次第に低下し、戦後、婚姻数の増加と連動して、一時的に上昇した後は1960年代まで低下傾向にあり、1963年には人口千人対比で0.73と戦後最低を記録した。しかし、その後上昇傾向に転じ、1980年代には婚姻数の減少の影響もあって一時低下傾向を示したものの、2002年には2.30と戦後最高の離婚率を記録した。 それ以降、婚姻率の低下等で、離婚率は低下傾向となり、2019年には1.69となっている。 離婚率の上昇傾向の要因となっている離婚の許容へ向かう国民意識の変化については図録2782参照。 婚姻率と離婚率の連動についてであるが、かつては、結婚期間(同居期間)の短い離婚が大半を占めていたため、婚姻数の増加が離婚の増加の原因ともなった。終戦直後がそのよい例である。このため、離婚件数を婚姻件数で割った値(相対離婚率)の長期推移を同時に図示しておいた。この図を見ると、離婚の多さは明治以降長期的に低下し、また、戦後反転して、長期的に上昇してきていた状況が明確である(もっとも21世紀にはいるとこの値は横ばいか低下に転じている)。 しかし、近年では結婚期間の長い熟年離婚(例えば20年以上同居)も増えており(下図参照)、離婚率が婚姻率と連動する程度は低まっていると考えられる。それに代わって、離婚が景気との連動性を強めていた(景気が悪いと離婚が増えていた)点については、図録2780参照。 相対離婚率はタイムラグのある結婚と離婚を対比させているので厳密な指標ではない。離婚が多いかどうかの最も厳密な指標である標準化有配偶離婚率も参考までに図に加えておいた。おおまかには相対離婚率と同じ動きだとはいえよう。 なお、2004年は毎年増え続けていた同居30年以上の離婚件数がはじめて減少した。これは、「離婚時の厚生年金の分割制度」の導入を見越して離婚を手控えているのではないかと見る向きが多かった。 この制度導入は、家族単位から個人単位への公的年金転換の一環として実施されるものであり、2007年4月以降に離婚した場合、夫婦の合意か裁判所の決定があれば、夫の報酬比例部分のうち最大2分の1を妻が分割して受け取れるというものである(共働きの場合、両方の報酬比例部分を合算して、その半分を分割できる)。この結果、国民年金と合わせて、専業主婦の妻の多くが10万円前後の月収を確保できると考えられている。(日経新聞2006.1.1) 実際、2007年にはそれまで減少していた20年以上同居の離婚が反転増加している。もっともこの要因は当初予想されていたような離婚数全体を増加に転じさせるというような大きな影響を持ったわけではなかった。 (2005年10月19日収録、2007年6月6日更新、2008年6月5日更新、6月9日同居期間別離婚数の推移の図を新しくして更新、2011年9月2日更新、2012年6月6日更新、2013年9月13日更新、2014年6月4日更新、2015年6月6日更新、2016年5月23日更新、2017年6月9日更新、2018年6月1日更新、2019年7月5日更新、2020年12月23日更新、標準化有配偶離婚率を追加、2021年6月4日更新)
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