定期的に共通の調査票で世界各国の国民に対して意識調査を行っている米国のピューリサーチセンターは、2013年春の調査で、不倫、中絶、同性愛といった倫理的な諸事項について道徳的な許容度を聞いている(図録2787d参照)が、その中には、ギャンブルも含まれている。図にはギャンブルを「不道徳」(「道徳的に許されない」)とする者の比率の小さな順に並べた結果グラフを掲げた。

 「道徳的に許されない」が13%と最も小さく、許容度が最も大きいのはフランスである。

 これに、カナダ、米国、英国といった、アングロサクソン系の諸国が続いている。自己責任を重視する気風のためであろう。同じアングルサクソン系でもオーストラリアは10位とやや許容度が低い。

 日本は、スペイン、ドイツに次ぎ、イタリアをやや上回る6位であり、おおむね、欧米諸国並の比較的高い許容度となっている。

 日本の場合、「道徳的に許される」の割合は38%と世界40カ国の中で最も高い値を示しており、この点から言えば、世界で最もギャンブルに寛容な国民と捉えることも可能である。

 儒教の影響が大きい東アジアの中で、日本は6位と許容度が高いが、これと比べて、中国は17位、韓国は30位と許容度が低いので、日本の欧米に近い考え方が目立っている。

 世界の中で最もギャンブルに厳しい見方をしているのは、パキスタンであり、同じイスラム圏のチュニジア、パレスチナ、ヨルダン、エジプト、インドネシアなども、やはり、ギャンブルを不道徳だとする国民が多い。

 その他の途上国はおおむね欧米とイスラム圏との中間に位置している。

 ピューリサーチセンター調査の道徳的許容度に関する結果についてはギャンブル以外では以下を取り上げているので参照されたい。

・飲酒(図録1972
・婚前交渉(図録2459
・不倫(浮気)(図録2785

 図で取り上げている40カ国は、図に順番に、フランス、カナダ、米国、英国、スペイン、ドイツ、日本、イタリア、ポーランド、オーストラリア、南アフリカ、チリ、アルゼンチン、メキシコ、イスラエル、ギリシャ、中国、ベネズエラ、フィリピン、ボリビア、ロシア、セネガル、ブラジル、チェコ、ケニア、インド、マレーシア、レバノン、ナイジェリア、韓国、トルコ、ウガンダ、エルサルバドル、インドネシア、エジプト、ヨルダン、パレスチナ、チュニジア、ガーナ、パキスタンである。

(2017年10月3日収録)


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