ここでは、「婚前交渉の可否について」の意識変化をグラフにした。「婚前交渉」という用語自体ややふるくさく、この言葉を知らない若い人もいるといけないので解説すると「夫婦になる前の男女のセックス」である。 1973年以降35年間で婚前交渉に対する考え方は大きく変わった。1973年当時には「不可」が6割近くを占めていて多数派であったが、2018年には「愛情あれば可」が47%で最多となっっている。 変化はバブル経済期(1980年代後半〜90年代初め)をはさむ1998年までに顕著に生じ、それ以降は、そう大きな変化は生じていない。1989年には、若い女性向けの雑誌「アンアン」が初めてのセックス特集「セックスできれいになる」を出している。 なお快楽主義・刹那主義的な考え方、あるいは結婚・愛への無関心を示す「無条件で可」は4〜5%で一貫して少数派であるが、バブル期に一時期やや増加したのち再度減少している。この時期の風潮を表現していたと考えられる井上陽水のリバーサイドホテルがヒットしたのは発売後6年目の1988年である。「無条件で可」のピークは1993年の5.1%である。バブル期は普通1980年代後半を指し、1990年代はバブル崩壊後とされるが、バブル的精神の起伏では1990年代前半がピークだったことがうかがわれる(図録2670参照)。 2018年にはバブル的精神が再興したわけでもないのに、「無条件で可」が7.2%と過去のピークをこした点が目立っている。「無条件で可」の選択肢の原文は「性的なまじわりをもつのに、結婚とか愛とかは関係ない」である。性的に無軌道になったというよりは、結婚や愛に対してピンと来ない人間が増えたせいだろうと考えられる。 なお、2008年調査に基づく書籍報告書の世代別(同じ時期の生まれ別)の分析によれば、婚前交渉の可否については異なる世代の違いが大きく、同世代の考え方は年次によって余り変化がない。すなわち、全体の比率の変化は人口に占める世代割合の変化に伴うものだと分析されている。 (2010年5月28日収録、2014年5月20日更新、2015年1月14日バブル期コメント追加、2019年1月9日更新)
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