東アジア4カ国の大学・研究機関が共通の質問票を使用して共同で行った各国の全国レベルのアンケート調査の結果から、夫は妻より年上であるべきか、という設問に対する回答を見た。EASSというこの共同調査の概要と中国調査の回答者属性をページ末尾に掲載した(データは別年次)。資料出所は日本側の担当機関の1つである大阪商業大学JGSS研究センターのHPである。

 この設問への回答の特徴は、いずれの国でも「どちらともいえない」の割合が大きい点である(例えばその他のアジア的価値観の諸側面について訪ねた図録8062と比較するとこの点が明白である)。またこうした国際比較調査で日本人の特徴として「どちらともいえない」「分からない」が多いことが傾向として認められるが、ここでも「どちらともいえない」が67.3%と7割近くに及んでいる。夫が妻より年上であるべきかどうかは、場合によりけりであるという見解がいずれの国でも強く、特に日本では大勢を占めていることが分かる。

 こうした点を踏まえて、夫が妻より年上であるべきかどうかについての各国の意見の違いをまとめると、結論的には、韓国、台湾、中国では夫は妻より年上であるべきとの意見が強いが日本は特にそうした点にこだわらない意見が多い。

 「夫は、妻より年上であるべきだ」という意見に対して、強く賛成、賛成、どちらかといえば賛成の3つを合計した賛成派の合計は、

日本 17.3%
韓国 43.4%
台湾 52.2%
中国 49.3%

となっている。日本が他の東アジア3カ国と比較して、こうした意見にこだわっていないことが明確である。

 儒教文化圏では旧来男性が女性より優位に立つことで社会秩序の維持を図ってきたが、日本では、いちはやく近代化の中でそうした考えが薄れていったと考えられよう。実際、結婚年齢の夫妻の差が縮小している点については、図録2454参照。

 労働や家事においては男女の機能分担が薄れた社会主義国の中国でも夫と妻との年齢差の意識については、韓国や台湾と同様である点が興味深い。


(2011年5月16日収録)


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