WHO(国際保健機関)は肥満や痩せを重要な健康リスクとしてとらえており、世界各国の体格指数(BMI=体重(キログラム表示)÷身長(メートル表示)の二乗)を推計し公表している。ここでは、このデータによる世界各国の値を女性をX軸、男性をY軸にとった散布図であらわした。先進国が中心のOECD諸国についてはさらに別形式のグラフで表示した。

 主要国の1975年以降の推移パターンについては図録2200c参照。日本の都道府県別の同様の散布図は図録7311に掲載。

 世界には、エチオピアのように男女ともに痩せている(スリムな)国民から、男女ともに平均値までもが肥満を示すトンガなどの太平洋諸島人まで、BMI(体格)には大きなばらつきがある。

 太平洋諸島人の肥満については、長い航海に耐えられるように遺伝的な発達した結果という要因が指摘されている(図録2190)。

 このほか、太めな国民として目立っているのは、太平洋諸島人のほかに、クウェート、カタールといった産油国の国民である。

 OECD諸国の中では、米国が男女ともにBMI平均値が最も高くなっており、肥満大国といわれるあかしを示している。米国だけでなくニュージーランド、オーストラリア、英国といった英語圏諸国も体格が太めな傾向にある。OECD諸国の中では日本や韓国、特に日本は体格がスリムな点が目立っている。ヨーロッパ諸国は全体に太めであるが、フランス、デンマークなどは比較的スリムな方である。

 世界全体の散布図では日本や韓国ばかりでなく、シンガポールや中国などを含め東アジア諸国は欧米諸国と比較してスリムである点が目立っている。体型がスリムなのは、実は、東アジア諸国の特徴というより米食民族の特徴である。この点に関しては図録2201fでふれたので参照されたい。

 右上がりの45度線より上は男性の方が太め(女性の方がスリム)であることを示し、45度線より下はその逆であることを示している。

 アフリカ諸国では男性の方がスリムな傾向、欧米や東アジアでは女性の方がスリムな傾向にある。日本は特に女性のスリム度が目立っている。

 体格と経済発展との関係を見るため、すなわち、貧しさが痩せにむすびつき、豊かさが肥満にむすびつくかどうかを見るため、男女のBMIの一人当たりGDPとの相関を調べてみた(下表参照)。相関係数は男女ともにプラスであるが、男は、相関係数の面からも相関式の傾きの面からも経済発展との相関度が女より高い。その理由としては、貧しい状況では子どもの出産を確実にするため女性の方が栄養的に男性より優先され、豊かな飽食の条件下では、女性の方が美容上の配慮から男ほど肥満にならないので、両方が影響してこうした結果となっているのではないかと想像される。

BMIと一人当たりGDP(PPPベース)との相関
相関係数 0.51 0.21
傾き(1万ドル当り) 0.59 0.25
(資料)同上、及びIMF, World Economic Outlook Database, October 2016

 以下では同じことを相関図で視覚化した(ただし、一人当りGDPは上と異なり対数)。


 なお、参考として当図録と同じデータを使用したインフォグラフィックへのリンクを以下に掲げておいた。関心のある方はご覧ください。


(2015年5月25日収録、2017年4月1日経済発展との相関、4月2日一人当たりGDPとの相関図、2024年11月17日OECD拡大図からOECD各国図に変更)


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