全体としては、欧米先進国や日中韓など東アジア諸国、中東高所得産油国で出生率が低くなっており、他方、サハラ以南アフリカをはじめとする発展途上国やパキスタンから北アフリカにかけてのイスラム圏諸国で出生率が高くなっている。 各国の所得水準と出生率が負の相関である様子は図録1563に掲げたので参照されたい。 アジアの中では、韓国が出生率世界最低の0.92であり、その他、香港、マカオ、シンガポールが1.1前後と非常に低くなっている。日本を含め、教育に熱心な儒教国である点がこうした低さを生んでいると考えられる。教育費の高さから子どもを産み、育てるための経済的負担が馬鹿にならないのである。中国も1.496と日本に近づいている(中国の出生率の推移については図録8210参照)。 一方、アジアの中には、インド、ミャンマー、インドネシアなど出生率2以上、フィリピン、ラオス、モンゴルなど出生率2.5以上の国もあり、多様性が特徴となっている。 ヨーロッパの中では、スペイン、イタリア、ギリシャと言った南欧諸国やポーランドやフィンランド、あるいは旧ソ連の東寄りの国では1.5未満の低い出生率となっている。 ヨーロッパでも、英仏独などが南欧諸国より出生率が高くなっているのは、政府の少子化対策の効果に加え、所得水準が高く、子育て費用の負担にある程度耐えられるからだとも考えられる(欧米では子育て費用として、教育費だけでなく衣服費も大きい点については図録1547参照)。欧米先進国だけ取り出すと、所得水準と出生率が正の相関である様子は図録1563に掲げたので参照されたい。 ロシアは回復しつつあった出生率が再度低下しており(図録8980参照)、今は、低下傾向の中国と同じ1.50とかなり低くなっている。 ロシア周辺の旧社会主義圏については、アジア方面のカザフスタン、モンゴルなどについては2.5以上の高い出生率となっている一方で、ヨーロッパ方面のウクライナ、ベラルーシなどは1.5未満の非常に低い出生率であり、対照的なパターンとなっている。 (2023年10月9日収録)
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