内閣府では「少子化社会に関する国際意識調査」を5年毎に実施しており、その中で、「子育てに関して何が経済的負担として大きいか」をきく設問を設けている。

 ここでは、この調査の結果について、日本の時系列動向と各国の国際比較を示した。

(年々大きくなる教育費の負担感)

 まず、日本の結果を結果の得られる2010年から掲げた。

 もっとも回答が多く集まっているのは「塾など学校以外の教育費」であり2020年には59%が大きな負担だと答えている。次に回答が集まったのは「習い事費用」の43%である。教育関連では、さらに「学校教育費」が37%と多くなっている。

 こうした教育関連の諸費用については、2010年から5年毎の調査で、いずれも毎回回答率が上昇しており、教育費の負担がどんどん重く家計にのしかかって来ている状況がうかがえる。

 比率の大きさは教育費ほどではないが、「食費」や「通信費」も毎回負担感が増している項目である。「通信費」への回答増は子どものスマホ代の負担が増していることを示している。

 2010年から20年にかけて、回答割合が低下しているのは「医療費」ぐらいであり、ほとんどの項目で負担感が増している点に、教育費を筆頭に子育ての経済的負担が全体的にますます家計を苦しめている状況がうかがえる。収入が伸びない中では2人の子育ては無理で1人で我慢、あるいは子育て自体をあきらめざるを得ないという方向に向かってもおかしくはなく、少子化の要因としては、やはり、これが一番であろう。

(子育ての経済的負担:日韓では教育費、欧米では衣服代が大きい)

 こうした教育費の大きな負担は、日本社会だけの特徴なのだろうか。次に掲げた国際比較の結果を見てみよう。

 教育費負担、その中でも学校以外の教育費の負担を特に大きいと感じているのは、日本や韓国といった東アジア社会の特徴である。やはり、教育熱心という儒教国としての伝統が影響していると考えざるを得ない。

 欧米諸国では、最も大きな経済的負担は、教育費よりむしろ衣服費であると感じている人が多く、文化の差が認められる。衣服費への負担感の差が大きいという点については、制服の制度が普及しているかどうかの差もあろうが、欧米の親は、自分らが属する民族や階級にふさわしい装いを強く意識し、そうした意味で子どもが馬鹿にされないような衣装をさせることを我々が考える以上に重要だと考えているからだと見なせよう。

 欧米諸国の出生率が日韓ほど低くならない原因としては、保育や教育をめぐる制度的支援の濃淡も影響しているだろうが、やはり、教育関連費用を日韓ほど負担に感じていない点が大きく作用していると考えざるを得ない。

 なお、自宅外で通学する子どもへの仕送り費用の負担感は「塾など学校以外の教育費」への回答に含まれていると考えられる。

 当図録掲載のきっかけとなったプレジデントオンラインの記事「「栃木県・香川県の親が一番ツラい」子供の学費&仕送り地獄でヘトヘトになっているワケ」はここ

(2022年7月16日収録) 


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