ここでは、男女の年齢各歳別の労働力率カーブに関して2000年と2015年の値を比較した。データは各歳別の値が得られる国勢調査によった。 男女の労働力率カーブを比較すると、男は25〜60歳でほぼ95%以上の高い労働力率を示し、60歳以上では大きく労働力率が低下するパターンとなっている。 一方、女は、男より全般的に低く、また、いわゆるM字カーブ、すなわち20歳代と40歳代に「ふたこぶらくだ」の「こぶ」のような2つのピークをもつ労働力率カーブが特徴となっている。M字カーブを描く理由は、結婚、出産、子育てで、一度仕事をやめた後、子どもが大きくなって手が離れて、再度、働き出す女性が多いからである。 女性が再度働きだす場合はパートタイム労働となる割合が大きい点は諸外国とも比較した図録1501参照。 近年の変化については、まず、男性は60〜70歳(特に60〜65歳)で労働力率が上昇している。これは、改正高年齢者雇用安定法(2006年4月1日施行)により事業主は65歳までの安定した雇用を確保するために、@継続雇用制度の導入、A定年年齢の65歳への引上げ、B定年制の廃止、のいずれかの措置を講じなくてはならないとされた影響が大きい。これは年金受給開始年齢の60歳から65歳への引き上げに応じた措置であり、その期間は働かざるを得なくなったのである。 男性でも75歳以上では、むしろ、労働力率が下がっている。これは、高齢者においては、農林業、商店主などの自営業の割合が低下してる影響が大きいと思われる。 女性の労働力率カーブの変化は全般的上昇とM字カーブの食い込み度の低下という両方の動きが目立っている。これにより実に多くの女性労働力が労働市場に参入したかがうかがわれる。 なお、結婚、出産、子育ての時期が高年齢化している影響で、M字カーブはやや右シフトしている。第1ピーク、ボトム、第2ピークの年齢は、2000年の23歳、33歳、46歳からから2015年の25歳、35歳、48歳へとちょうど2歳づつ高くなっているのである。 女性も高齢期の労働力率が上昇しているが、これには、男性と同じ要因、すなわち年金受給開始年齢の引き上げが影響していると考えられる。働いてきた単身女性だけでなく夫の収入に影響される夫婦世帯の女性も家計補助のため新たに働くことが多くなったのだといえよう。 (2019年5月26日収録)
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