2013年の調査とすこし古いが移民増加の是非についての国民意識をきいた国際調査の結果を掲げた。 欧州への中東・北アフリカからの難民流入が国際問題になる前にもかかわらず、全体としては、「増えたほうがよい」より「減ったほうがよい」が大きく上回っていた。「増えたほうがよい」の方が多かったのはインドだけある。 「減ったほうがよい」の割合を見ると、EUの中では、英国が79.3%ともっとも多く、チェコ、ベルギー、ハンガリー、フランスが6割台とこれに続いていた。この調査が行われた3年後の2016年に英国が移民問題などからEU離脱を決めたのもうなずける。EU主要国の中ではドイツは43.7%とやや低い方である。EU圏域では移民比率が高まっており、その分、問題も大きくなっているからだと考えられる(図録1171)。 EU以外ではトルコ、ロシアなどで「減ったほうがよい」が高い点が目立っているが、それ以外の国でも概して「減ったほうがよい」が多い。ただし、米国、あるいは台湾、韓国、日本などの東アジア諸国は「減ったほうがよい」の割合が比較的少なくなっている。 米国は欧州主要国より「減ったほうがよい」が少なく、もともとの移民の国という国の成り立ちを反映している(多文化主義が欧州より米国の方が浸透している点については図録9032参照)。 東アジアについては欧州ほど移民人口比率が高くない(図録8032)。その一方で、労働力不足が深刻になりつつある。そこで「減ったほうがよい」がそれほど多くないのであろう。 中でも日本は「減ったほうがよい」が17.3%と対象国の中で一番少なくなっており、「増えたほうがよい」の15.1%をわずかに上回る程度である。 こうした日本人の意識は現在でもそれほど変わっておらず、下に掲げた外国人労働者の受入拡大についての意向を見ても賛成が半数を越えている。特に、若年層では賛成が66.3%と3分の2を占め、多数派となっていさえするのである。 対象33カ国を、図の並びで掲げると、【EU】は、英国、チェコ、ベルギー、ハンガリー、フランス、スペイン、スウェーデン、ラトビア、スロバキア、アイルランド、ポルトガル、ドイツ、クロアチア、デンマーク、スロベニア、フィンランド、エストニア、リトアニア、【EU以外】は、トルコ、ロシア、イスラエル、ジョージア、メキシコ、ノルウェー、南アフリカ、スイス、フィリピン、米国、台湾、韓国、インド、アイスランド、日本である。 (2018年11月6日収録)
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