弱い立場の生徒ほどいじめにあいやすいというのが一般傾向である(図録3942m参照)。従って、移民の子も学校で非移民の子よりいじめにあっているのではないかと想像される(移民の学力については図録3941bなどを参照)。

 そこでこの点をOECDのPISA調査で確認してみよう。

 OECD諸国平均でいじめにあっている非移民の生徒割合は23.1%であるが、外国生まれの移民1世の場合は26.5%とそれより高くなっており、いじめにあいやすいことが分かる。

 ただし、親が移民の移民2世の生徒では22.2%とむしろ非移民生徒より低くなっており、時間の経過でいじめにあいにくくなるようだ。個人的に耐性ができたり、移民先の生活習慣に同化するようになるためなのか、移民生徒のグループができ、非移民生徒から防衛するようになるからなのかは分からない。

 個別の国によっては状況が異なる場合がある。移民1世も2世も非移民生徒よりいじめにあいにくいカナダ、米国、英国、オーストラリア、ニュージーランドといった国もある。こうした国はいずれも英語圏の国である。また、非移民のいじめ水準そのものが高いと言う特徴もある。

 このほか、移民生徒の方がいじめにあいやすく、しかも移民2世の方が1世よりもっといじめにあいやすい国として、リトアニア、トルコ、チェコが目立っている。

 取り上げた国は24カ国であり、具体的には、図の左から、オランダ、ポルトガル、ルクセンブルク、スペイン、アイスランド、フィンランド、ベルギー、クロアチア、フランス、ノルウェー、スウェーデン、スロベニア、スイス、デンマーク、オーストリア、ドイツ、リトアニア、アイルランド、ハンガリー、イタリア、チリ、トルコ、コスタリカ、エストニア、カナダ、ギリシャ、米国、スロバキア、英国、チェコ、マルタ、オーストラリア、ニュージーランド、ラトビアである。

(2024年11月5日収録)


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