いじめが多いか少ないかをPISA調査によって国別に比較した結果は図録3942kに掲げた。結論的には日本はいじめが多い国である。しかし、いじめの質はどうなのであろうか。この点を検討するため、学力や家庭環境との関係を見てみよう。

 まず、PISA調査の付帯部分であるいじめと本体部分である学力テスト結果との関係を見てみよう。

 図には科学的リテラシーのテスト結果の得点を低い方から高い方へ人数別に10区分した各区分の生徒について、いじめを受けた割合を示した。

 主要国の結果を見ると、「からかい」、「こづきまわし」、「悪いうわさ」といったいじめの種類によらず、概して、成績の悪い生徒ほどいじめを受ける割合が高いことが分かる。

 日本の結果を見ると、「悪いうわさ」については、他の国ほど成績と比例してはいないが、それでも、成績の悪い生徒ほどいじめを受けやすい傾向がある。

 一方、「からかい」については、日本(および韓国)は、欧米の先進国や中国では成績の悪い生徒ほどいじめがひどいのに対して、むしろ、逆に、成績の良い生徒ほど多くのいじめにあっている。

 「こづきまわし」については、成績の最も悪い第1群から第8群までは他の国と同じように成績の悪い生徒ほどいじめられているが、第9群より上では成績の良い生徒の方がいじめられている。成績の最も良い第10群では第1群よりもいじめがひどいほどである。「こづきまわし」は「からかい」と「悪いうわさ」をミックスしたような結果になっているといえる。

 全体的に、日本の学校のいじめは、「弱い者いじめ」にはなっておらず、欧米と比べていじめの質は悪くないともいえよう。むしろ、勉強のできる子に対するやっかみや足を引っ張りたい気持ちが強くなっているといえる。日本人に特徴的な「和をもって尊しとなす」精神が暴走した結果だともいえよう。

 いじめの中で多いのは「からかい」や「こづきまわし」である。こうしたいじめが日本では特に多いので、もし、「弱い者いじめ」だけをいじめとするなら、日本はいじめの多い国とはいえなくなると考えられる。
 次に、家庭環境との関係を見てみよう。

 勉強のできる生徒は家庭環境が恵まれている生徒であると考えられる。上図には、OECD諸国の中では例外的といってよいのであるが、日本が、恵まれた家庭の生徒ほどいじめにあっていることを示すデータを掲げた。欧米では貧乏人の子ほどいじめられるのが一般的であるのに対して日本では金持ちの子ほどいじめられているというのだから実に対照的である。

 OECD33カ国の中でいじめが多いかの順位を調べて見ると、日本の場合、恵まれた家庭の生徒ではラトビアに次ぐ第2位と高い順位であるが、恵まれない家庭の生徒では19位と低い方となる。

 2番目の図で取り上げた33カ国は、以下である。フランス、カナダ、ベルギー、スロバキア、ニュージーランド、オーストラリア、ラトビア、デンマーク、ハンガリー、チェコ、スウェーデン、ポルトガル、ルクセンブルク、アイスランド、スペイン、フィンランド、英国、ポーランド、ギリシャ、スイス、米国、チリ、エストニア、スロベニア、メキシコ、韓国、ドイツ、ノルウェー、オランダ、オーストリア、アイルランド、トルコ、日本。

(2018年10月9日収録)


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