ここでは、対象者を20歳以上に限定してきいた「好きな酒類」に関する回答結果を掲げる(n=2,281人)。資料はNHK放送文化研究所世論調査部「日本人の好きなもの」(2008年)である。なお、1983年の結果はNHK放送世論調査所編「日本人の好きなもの―データブック」1984年に掲載されたデータを使用した(一部当図録で年齢別を組み替え集計)。 お酒のうち日本人が最も好んでいるのは「ビール」であり、50%、半数の人が好きだといっている。 第2位は「果実酒(梅酒など)」、第3位は「焼酎」、第4位は「清酒」、第5位は「ワイン」と続いている。 1983年と2007年を比較するために、1983年の結果について20歳未満を除いた値を計算した。1983年当時からの推移では、「ビール」が首位であるのは変わらないが、かつて第2位であった「ウイスキー」が36%から13%、9位へと、比率、順位を下げているのが目立っている。「清酒」や「ブランデー」なども比率、順位を下げている。 逆に比率、順位を上昇させているのは、「焼酎」「カクテル」である。特に「焼酎」は10%から27%へと大きく躍進しており、「焼酎ブーム」の影響をうかがわせている。 男女年齢別のグラフを見ると、2007年について、男性ではいずれの年齢層も「ビール」が首位となっている一方、女性では中年層(30〜59歳)は「ビール」が首位であるが、若年層(20歳代)は「カクテル」、高年層(60歳以上)は「果実酒(梅酒など)」が一位となっているのが目立つ。 また男性の場合、「焼酎」が2〜3位にランクされているのに、女性の場合は5位、ないし8位と地域が低くなっている。逆に「果実酒(梅酒など)」は女性では1〜2位であるに対し、男性では4〜7位と地位が低くなっており、男女の嗜好の差が認められる。 男女の違いという点では、男性の方が女性より酒を好んでいる点も目立つ。各年齢層の第1位の回答率はいずれも男性の方が高いし、10位までの棒グラフの面積合計を見ても男性の方が大きくなっている。 ただ、男性はいずれの年齢もお酒が好きだという傾向にあるが、女性の場合は、高齢者より中年層、中年層より若年層の方がお酒を好きだといっている。首位の酒類の回答率が若いほど高いほか、棒グラフの全体の面積も若い方が大きい。 この結果、若年層では男性と女性のお酒愛好度が同等となっている。「この質問で注目されるのは「特になし」と「無回答」の割合です。男性16%に対して女性29%で、女性の方が13ポイント多いのですが、若年層でみると、男性19%、女性16%と大小が逆転しました。」(NHK放送文化研究所世論調査部「日本人の好きなもの」2008年)酒類愛好度の男女・年齢別の推移についてはコラム参照。 男女・年齢別の酒種別の愛好度の変化のうち、まず、男性の変化を見ると、若年層と中年層でウィスキー、ブランデー、清酒の人気が大きく下落したことが目立っている。特に若年層のウィスキー愛好度は68%から12%へと驚くほど低下し、愛好度順位も1位から8位へと大きくダウンした。ところが、男性の高年層ではこうした酒類への愛好度はほとんど変わっていない。一方、焼酎の愛好度の上昇は、男性のすべての年齢層で大きく上昇している。 女性の酒類愛好度の変化では、ウイスキー、清酒を嗜好する女性はもともと少なかったので、そうした酒類の人気度の低下はあるが、全体の中でそうは目立ってはいない。目立つのは、若年層女性のカクテルや果実酒への愛好度の上昇である。焼酎も年齢を問わず女性人気は上昇している(もともとはひどく人気がなかったのに対して)。 日本人が余り呑めない体質なのに世界一お酒が好きである点については、図録1972参照。 なお、当図録で取り上げた酒類は、回答率の高い順にビール、果実酒(梅酒など)、焼酎、清酒、ワイン、発泡酒、カクテル、サワー、ウイスキー、スパークリングワイン、ブランデー、ジン、泡盛、紹興酒、ウオッカ、どぶろく、ラム、ジェリーである。
(2010年2月2日収録、2014年1月26日1983年の男女・年齢別データやコラムの追加)
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