調査年次はやや古いが、日本食が世界に広がっていく途中経過を記録していると思われるので取り上げた。日本食レストランが世界に分布を広げていっている状況については図録0209a参照。 メニューの中で値がもっとも高いのは「寿司」である。各都市は、アジアとそれ以外に分けて、それぞれ「寿司」の値の高い順に並べた。寿司食の普及度から見た日本影響度ランキングともなっていよう。 寿司食普及度がほとんど100%に近いのは、香港、ソウル、台北の3都市である。 この3都市に続いて、シンガポール、バンコクが8割台、クアラルンプール、広州、上海が7割台、マニラが6割台と普及度が高くなっている。 中国の中では北京は58.0%とやや低く、ベトナムのホーチミン、インドネシアのジャカルタは2〜3割とさらに低くなり、インドに至っては1〜2%と極めて低くなっている。 アジア以外の寿司食普及度は米国のニューヨークが61.4%、ブラジルのサンパウロが39.7%となっており、アジア諸都市と比較すると中程度の位置となっている。 次に品目別に見てみよう。まず、上図にすべての日本食メニューのアジア14都市平均の値を掲げた。 寿司が60.8%と2位以下をかなり上回って1位である。寿司人気が日本食ブームをリードしていることがうかがわれる。 寿司に次いでラーメンと天ぷらが4割台と高く、以下、うどん、たこ焼き、豆腐、しゃぶしゃぶが3割台で続いている。 すき焼きは、日本人以外も好みそうなメニューであるし、坂本九の「上を向いて歩こう」の英・米題にもなっているのでもう少し食べられているかと思ったが、23.5%と余り高くなかった。 都市別のグラフでは、上位3位の品目と普及率の低い品目の代表としてすき焼きの計4品目の値を示した。 ラーメンは、寿司が100%近い香港、ソウル、台北、およびマニラで寿司と同様の普及度を示している一方で、その他の都市では、寿司をかなり下回っている。 天ぷらもラーメンと同様であるが、マニラとジャカルタの2都市では、むしろ、寿司を上回る人気となっているのが目立っている。東南アジアは大陸部と島しょ部に大きく2分されるが、島しょ部東南アジアでは、特に天ぷらが好まれる食嗜好があるのであろうか。 すき焼きについては、台北では上位3品目並みに食べられているが、その他の都市では、普及度が相対的に低くなっている。 日本食ではなく、日本のマンガ・アニメ、ドラマ、映画といったコンテンツのアジア主要都市での受容状態については図録8054に示した。 (2023年8月7日収録)
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