好きな日本料理メニュー
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中国 寿司 刺身/唐揚げ 天ぷら ラーメン
香港 寿司 刺身 ラーメン 天ぷら ラーメン
台湾 寿司 ラーメン 刺身 焼き鳥/しゃぶしゃぶ/すき焼き 
韓国 寿司 刺身 しゃぶしゃぶ うどん とんかつ
米国 寿司 天ぷら 焼き鳥 味噌汁 ラーメン
フランス 焼き鳥 寿司 刺身 味噌汁 カレーライス
イタリア 寿司 天ぷら 焼き鳥 カレーライス 刺身
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ロシア 寿司・刺身 焼き鳥 うどん 天ぷら ラーメン
ベトナム 寿司・刺身 焼き鳥 うどん 牛丼 しゃぶしゃぶ
ブラジル 寿司・刺身 天ぷら とんかつ すき焼き そば
タイ 寿司・刺身 しゃぶしゃぶ すき焼き ラーメン 天ぷら
インドネシア 寿司・刺身 ラーメン 天ぷら 焼き鳥 カレーライス
アラブ首長国連邦 寿司・刺身 天ぷら 焼き鳥 カレーライス ラーメン
(注)2012年は複数回答結果。2013年は上位3位までの複数回答結果。2012年の調査票の「寿司」、2013年の調査票の「寿司・刺身」には「ロール寿司を含む」と付記されている。調査対象者は一般消費者男女のうち、過去に日本食品を購入あるいは日本料理店を利用したことがあるか、そうしたいと思っている現地系住民(原則として)。調査対象地は各国の首都、ただし、中国は上海と上海周辺、米国はニューヨークとロサンゼルス、ブラジルはサンパウロ、アラブ首長国連邦はドバイ。対象年齢と回答者数は、それぞれ、2012年調査は20〜59歳、各国400人、2013年調査は10代〜50代、各国500人。両調査とも調査時期は12月。
(資料)ジェトロ「日本食品に対する海外消費者意識アンケート調査」(2012年調査)、「日本食品に対する海外消費者アンケート調査」(2013年調査)

   

 ジェトロの調査結果報告書のデータから、海外で日本料理がどのくらい人気があるかについてを図録0209で紹介した。ここでは同じ調査から、海外で人気のある日本料理メニューについて整理した。最初に好きな日本料理メニューは何かを調べた結果を順位づけして整理し、次に、2012年調査の6カ国計のメニュー別回答率、また2013年調査の5カ国計のメニュー別回答率を示した。

 各国別では、フランスの「焼き鳥」を除くとすべての国で「寿司」あるいは「寿司・刺身」がトップとなっており、世界的な寿司ブームをうかがわせている。また、天ぷら、しゃぶしゃぶ、すき焼きといった従来からの高級日本料理のほかに、ラーメン、焼き鳥、カレーライスといった日本の庶民料理が世界的に躍進している点も目立っている。日本料理としてのラーメンが本場中国のラーメンを凌駕するに至った点は中国人も認めているようだ(図録0332参照)。

 6カ国計、あるいは5カ国計の結果では、寿司及び刺身の人気が高いことは確かであるが、焼き鳥、ラーメン、カレーライスといったメニューが、従来からの天ぷら、しゃぶしゃぶ、すき焼きといったメニューに劣らない人気を有していることがうかがわれる。選択肢にはまだ挙がっていないが、日本料理としては、うなぎ、ふぐ、あんこう、すっぽん、どじょうといった専門魚料理、また洋食、焼き肉、串揚げ、精進料理、しるこ、地方料理(長崎料理、沖縄料理)など海外進出の可能性があるメニューが豊富に控えている。

 下の表に、ジェトロの調査結果報告書から人気のある日本料理メニューに関するコメントを引用してた。各国それぞれの日本料理事情がうかがわれる。

好きな日本料理メニューに関する各国事情(ジェトロの報告書より)
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●「寿司・刺身」「焼き鳥」「天ぷら」は定番人気で国・地域を問わず好評。代表品目はアジアよりも欧米での回答割合が高かった。

●アジアや米国で「ラーメン」が支持され、欧州では「カレーライス」が好まれる結果が出た。前者はラーメン専門店の増加がブームを後押しし、後者はアニメが広まる中でカレーを食するシーンが描かれていることが多いことから消費者に受け入れられているもよう。

●イタリアの「天ぷら」、フランスの「焼き鳥」など各国で特徴的な品目があり、全体の評価を押し上げている。

●フランスでは「焼き鳥」の人気が寿司を上回るなど、特徴的な傾向がみられ、「日本食=寿司」に当てはまらない展開の可能性がみられる。欧州では寿司を提供する店舗のサイドメニューとして、「焼き鳥」、「天ぷら」がみられることが要因のひとつと思われる。

●イタリアの「天ぷら」人気については、野菜や魚介類のフリットを家庭で作るイタリア人にとってなじみやすい料理であることが背景の一つとして考えられる。ジェトロが2012年にイタリアで実施した日本食材取扱店へのインタビューからも近年の売れ筋商品として日本産天ぷら粉が揚げられるなど、消費者に徐々に受容されていることが明らかになっている。

●そのほか、アジアではすき焼き、しゃぶしゃぶ等の回答割合も比較的高かった。
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(中国)
 すき焼きは、日本式の「火鍋」と捉えられ、受け入れられているもよう。日本風の味付け以外に、辛味をブレンドしたものなどローカライズされた味のメニューを置くレストランもある。たこ焼きは日本料理店以外の場でもスナック感覚でよく売られている。

(香港)
 40代では、価格の高い「刺身」、「寿司」、「天ぷら」などが好まれているのに対して、20代では「お好み焼き」、「牛丼」、「唐揚げ」、「たこ焼き」など、値段が低く、ファーストフードやおやつとして売られている料理の人気がわずかに高い。広東麺類などの背景から麺類への親しみが高いことも香港の特徴である。

(台湾)
 ラーメンについては、さまざまな日本のチェーン店が台北に進出している。また、日本に旅行する際も、ガイドブックには必ず紹介されているため、親しまれている。

(韓国)
 品目名では日本料理だが、韓国風にアレンジされている場合も多い。例えばしゃぶしゃぶは、ポン酢やつゆをそのまま使う店はほとんどなく、味そのものは韓国料理に近い。刺身を好む人が多いが、日本のように数種類の魚を盛り付けるのではなく、1匹注文して食する場合が多く、食べ方もしょうゆよりはコチュジャンにつけて食べることが多い。

(米国)
 寿司、てんぷらは米国人に最も好まれている日本食である。ラーメンは、NYやLAでは多数のラーメン屋があり、高級品として売り出している(1品15ドルから20ドル)。焼きそばは日本食レストランではあまり取り扱っておらず、アジア系スーパーマーケットあるいはネットでのカップ焼きそばの人気を反映したものと推測される。

(フランス)
 フランスでは、寿司を中心とした日本料理を提供する店で、焼き鳥を注文する外国人の姿が多くみられるほか、店の看板の多くが“Sushi Yakitori”と記載されるなど、寿司とセットで焼き鳥が日本食として親しまれているもよう。

(イタリア)
 天ぷらはイタリアにおいては、寿司に次ぐ定番メニューであり、広く好まれている。イタリアにおいては、日本料理店イコール寿司店というイメージで定着してきているが、サイドメニューで天ぷら・焼き鳥等を出す店が大半。イタリアの「天ぷら」人気については、野菜や魚介類のフリットを家庭で作るイタリア人にとってなじみやすい料理であることが背景の一つとして考えられる。ジェトロが2012年にイタリアで実施した日本食材取扱店へのインタビューからも近年の売れ筋商品として日本産天ぷら粉が揚げられるなど、消費者に徐々に受容されていることが明らかになっている。
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 「寿司・刺身」、「天ぷら」、「焼き鳥」は一般的に各国での人気が高く日本料理メニューとして浸透しているが、各国別には以下のような特徴が見られる。

(ロシア)
 「寿司・刺身」、「天ぷら」、「焼き鳥」は日本料理メニューとして浸透しており、モスクワでは特に「寿司・刺身」の人気が高い。モスクワではレストランの5軒に1軒では何らかの日本食を食することができる。中でも寿司は空前のブーム。最近は寿司の材料を買って自宅で作る人もいる。(ジェトロ「モスクワ・サンクトペテルブルクスタイル」、「世界は今」から抜粋)

(ベトナム)
 ホーチミンでは「天ぷら」の人気が低い結果となった。ベトナムでは外国料理のレストラン数が少なく、ベトナム人ではなくその国の人が経営・関与しているものが主流である。このため、駐在員や富裕層向けの高級なイメージが持たれている。その一方で、屋台村や寿司バーなど、ベトナム人客で賑わう店も現れている。

(ブラジル)
 ブラジルの日本食レストランは、一般的に総合レストラン的なもの(寿司、刺身と一緒にラーメン、うどん、カレーライスなどが提供される)が多い。最近では専門店も現れ、その中でも「テマケリア(Temaqueria)」と呼ばれる手巻き寿司専門店が市場に広がる(ジェトロ「ブラジル日本食品消費動向調査」から抜粋)。ブラジルでは、糖尿病および肥満体質の人が増加傾向にあり、2人に1人が肥満予備軍である。そのため、ヘルシーという印象の日本料理がより一層注目されている。

(タイ)
 バンコクでは特に「しゃぶしゃぶ」や「すき焼き」の人気が高い。タイには「タイスキ」と呼ばれるタイ式鍋料理があり、日本のしゃぶしゃぶやすき焼きに対して親和性があると見られる。「しゃぶしゃぶ」と「寿司」、「すきやき」と「寿司」がセットで提供されるビュッフェスタイルのカジュアルレストランも人気を博している。

(インドネシア)
 ジャカルタでは特に「ラーメン」の人気が高い。ジャカルタでは数年前から日本のラーメンブームが起きている。インドネシアは華僑が持ち込んだとされる麺文化が深く根付いており、中国に次ぐ世界2位の麺類消費国である。このような素地に加え、これまでになかった日本のラーメンの味と風味が受け入れられており、脂っぽいものや濃い味を好むインドネシア人の嗜好に合ったことが背景にある。

(アラブ首長国連邦)
 ドバイでは特に「カレーライス」の人気が高い。UAEの人口のうち88.4%が外国籍(出所:Euromonitor International。2012年)であり、なかでもインドからの居住者が多い現状である(本調査の回答者も42.8%がインド国籍)。そのため、ドバイ市場開拓の際はアラブ人のみならずインド人等の嗜好も考慮する必要がある。カレーライスを選んだ回答者も71.7%がインド国籍の人々であった。一般的にインド人は日本の「カレーライス」とインドの「カレー」の味は別物と考えているものの、見た目やスパイシーさに親和性を感じている様子。インド人の特徴として「食に対して保守的」、「醤油や塩等の薄味には味を感じず、スパイスの味を好む」が挙げられるため、これらも考慮してドバイ市場を見る必要がある。
(資料)同上

(2015年3月25日収録)


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