また、日本語を使用する人口が他の言語を使用する人口と比較してどの程度の位置にあるのかという点も少しは気になることである。 そこで、ここでは、世界の言語人口ランキングを掲げた。原資料はWorldData.infoサイトである。 結果は中国語が13.5億人と最大である。中国の人口がインドに次ぐ世界第2位であるのだから当然ともいえる。 一方、世界1の人口を抱える南アジア3か国の使用言語は、インド・メインのヒンディー語5.9万人以外に、インド・バングラデシュのベンガル語2.8億人、テルグ語1億人、マラーティー語1億人、ウルドゥー語9千万人、タミル語9千万人などと数多い(下図参照)。ネットフリックスのインド映画・ドラマにはヒンディー語、パンジャーブ語、カンナダ語といった言語名が記されており、言語名で検索も出来るようになっている。 人口では中国を上回るにいたったインドの主要言語であるヒンディー語の言語人口が中国語の半分以下となっているのもそのためである。 図に掲げた南アジア3か国の使用13言語の言語人口を合計すると16億6,900万人となり、中国語を大きく凌駕している。 なお、インドでは、公用語と準公用語として、ヒンディー語と英語の2言語の使用が定められている。パキスタンの公用語はウルドゥー語と英語であるが、どちらも母語とするパキスタン人の割合は少ない。 実は、中国の話し言葉は、北京語のほか上海語、福建語、広東語、客家語などがあり、それぞれ別言語のようなものであり相互に通じあうとは限らない(上図参照)。ある意味、南アジアと同じ状況である。ところが、中国を代表する北京語は「国語」と呼ばれ、これが中国の近代化の中で、標準的な書き言葉、およびそれをもとにした話し言葉となっている。北京語で相互のコミュニケーションがはかれるので、漢字が共通であることもあって各地方の方言を合わせた「中国語」の言語人口が世界一とカウントされるにすぎない(図録9456コラム参照)。 英語は6億人と英国のほか、米国、カナダ、オーストラリアなど旧英領植民地だった国々で使われており、事実上の世界言語となっている。インターネットの使用言語やウィキペディア使用言語としても最多である(図録6305、図録6307)。このため、外国語学習というとまず英語が選択される。 以下、南インド諸語を除いてランキングを追う。 英語に次いでスペイン語の4.6億人、アラビア語の3.8億人が多い。スペイン語はスペインのほか、旧スペイン植民地だったラテンアメリカ諸国(ブラジルを除く)、アラビア語はイスラム文明が浸透した中東・北アフリカで広く使用されている。アラビア語に次ぐポルトガル語はブラジルやアフリカのギニアビサウ、アンゴラ、モザンビークなど旧ポルトガル植民地で広く使われている。 これに次いでいるのは、ロシア語、日本語、ジャワ語、フランス語、ドイツ語であり、9千万人〜1.5億人の言語人口を有している。それぞれの本拠地の国の人口が多いためであるが、ロシア語、フランス語、ドイツ語は旧ソ連圏やアフリカの旧植民地など旧勢力圏の人口を加えているから多くなっている側面もある。 日本語の言語人口は世界10位であり、国としての人口が世界10位から転落し、2023年の段階で12位となっていること(図録1167)と比較すると、なお存在感を示していると言えよう。 言語の勢力圏の大きさは言語人口だけででなく、話されている国数や公用語として言う国数でもはかられる。 以下に国数ベースでのランキングを掲げた。このはかり方であるとランキング1位は英語、2位はフランス語、3〜4位はスペイン語とアラビア語となっている。
こうした点を踏まえ、国連の公用語は英語、フランス語、ロシア語、中国語、スペイン語、アラビア語の6言語であり、フランス語と英語が事務局と国際司法裁判所の常用語となっている。
ランキングの対象となっている30言語は言語人口の順に、中国語、英語、ヒンディー語、スペイン語、アラビア語、ベンガル語、ポルトガル語、ロシア語、パンジャーブ語、日本語、ジャワ語、テルグ語、マラーティー語、フランス語、ドイツ語、ウルドゥー語、タミル語、ベトナム語、韓国語、トルコ語、ペルシャ語、ハウサ語、グジャラート語、イタリア語、マレー語、カンナダ語、パシュトー語、タガログ語、オリヤー語、マラヤーラム語である。 (2023年11月29日収録、11月30日図改変、中国の言語地図、12月2日アラビア語公用語国表、2024年2月11日ドラヴィダ語族のカンナダ語もインドの言語なので色付けを修正、ネットフリックスの言語名コメント、11月10日・15日コメント補訂)
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