ヨーロッパ諸国における移民(他国生まれの者)の出身地はヨーロッパ域内が多い点については図録1170eに示した。同じ移民であってもヨーロッパ内からの移民とヨーロッパ以外からの移民ではやや性格が異なる。そこで、ここでは、ヨーロッパ以外からの移民をEU外移民としてとらえ、その対総人口比率、およびヨーロッパ以外からの移民との交流率を相関図のかたちで示した。

 EU外移民比率がもっとも高いのはスウェーデンの18.9%であり、スウェーデン人のEU外移民との交流率(最低週1回はやり取りがある比率)は62%である。EU外移民は2割程度おり、そうしたEU外移民と週に1回以上交流するスウェーデン人は6割あるという勘定である。

 EU外移民比率がスウェーデンについで高いのはキプロスの17.8%、アイルランドの15.0%、スペインの13.9%が続いている。

 逆に、EU外移民比率が低いのは、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、チェコといった東欧諸国である。こうした諸国ではEU外移民との交流率も10〜30%と低くなっている。

 相関図はEU外移民比率が高ければ、EU外移民との交流率も高くなるという一般傾向を示している。点線で示した回帰傾向線より上の国は、一般傾向以上にEU外ミントの交流がさかんな国、また回帰傾向線より下の国は、一般傾向以上にEU外移民との交流が少ない国と判断できよう。

 スペイン、ポルトガルといったラテンアメリカからの移民が多い国は言語が同一であるためか交流率も高いことが分かる(図録1170e参照)。ギリシャの交流率も高いが、ギリシャに多い隣国アルバニアからの移民がEU外移民にカウントされているからと考えられる。その他、デンマーク、イタリア、アイルランドといった諸国もEU外移民の比率の割に交流率が高い移民に対して開放的な国である。イタリア、アイルランドはかつては移民の出身国として知られた国であり、そういう意味から移民に対して理解が深いとも考えられる。

 逆にEU外移民比率の割に交流率が低いのは、リトアニア、ラトビア、エストニアといったバルト諸国やクロアチアなどである。これらの国はヨーロッパ以外からの移民に対してやや閉鎖的であると言えよう。

(2024年11月2日収録)


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