まず、韓国の78%、日本の69%から、インドの14%、マレーシアの12%と飲酒率の幅がかなり広いという点が目立っている。 宗教が飲酒を禁じているケースがある。イスラム教では「禁止」、ヒンドゥー教では「好ましくない」とされている。従って、イスラム国のマレーシアやヒンドゥー教のインドでは飲酒率が少なくなっている。もっとも、旧ソ連のウズベキスタンもイスラム国ではあるが、飲酒率はむしろ高い。 一方、仏教でも、在家信者の五戒(不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不飲酒)の中に不飲酒があり酒を飲むことが禁じられており、スリランカ、ミャンマーで飲酒率が低いのにはこれがある程度影響している可能性がある。韓国や日本も仏教の影響が残っているが、飲酒とは関係が薄いようだ(日本の僧侶は飲酒する場合も多い)。 男女別の飲酒率については、全ての国で、女性は男性を下回っているが、男女差を全体平均で割った比率を男女差率として求めてみると、この比率の高い順に、ミャンマー、インド、スリランカ、マレーシアがいずれも100%以上となっており、やはり、飲酒行動への宗教の影響度が強いほど、男女差も大きいのではないかと考えられる。
飲酒率の所得差については、飲酒率の最も高い韓国、日本、及び飲酒率の最も低いインド、マレーシアでは、高所得者の飲酒率が低所得者を大きく上回っていることが分かる(日本のケースについては図録2218参照)。韓国、日本では宴会での飲酒率が高いせいではなかろうか。インドについては、高所得者では、海外留学組など欧米の生活スタイルの影響が大きく、マレーシアでは、高所得者に中国人系が多い影響だと考えられる。ウズベキスタンやベトナムでは、逆に、低所得者の飲酒率の方が高い。ウズベキスタンでは社会主義からの移行期の混乱が低所得者のアルコール中毒を生んでいる影響の可能性が高いだろう。その他の国では、所得による違いはほとんどないといってよいだろう。
(2013年7月30日収録、8月6日宗教構成を世界価値観調査・CIA表からPEWデータの図に変更)
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